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ハリルホジッチと「くまモン」。母国の戦火と被災地への想い。~サッカー指導者が、被災地で何をできるか~
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKYODO
posted2017/10/02 07:00
昨年5月に熊本県甲佐町を訪れたサッカー日本代表のハリルホジッチ監督は、子供たちとにこやかに触れ合った。
日本代表が6大会連続となるワールドカップ出場を決めた夜、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の襟元には、「くまモン」のピンバッジが嬉しそうに揺れていた。
昨年4月、甚大な被害をもたらした熊本地震が起こった。1カ月後の「こどもの日」に彼は益城町をはじめ被災地を訪れ、ワイシャツ姿で子供たちと一緒にボールを蹴った。現地でプレゼントされた、愛嬌たっぷりの「くまモン」バッジは希望の象徴だった。1年後の再訪を約束した指揮官は、今春も熊本に足を運んでいる。
初めて被災地を訪問したときの話を、彼から聞いたことがある。家屋が倒壊した町並みを見て言葉を失ったという。いつにない沈痛な面持ちをこちらに向けた。