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大学最後の冬を石川祐希はどう戦う?
イタリアでのプレーは夢への第一歩。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2017/10/01 09:00
22歳にして3度目のイタリア挑戦。今度こそ石川はセリエAで確たる実績を残そうと意気込んでいる。
「最初から向こうに行って」勝負したい。
その言葉通り、石川は大学側に強い思いを伝え、今シーズンはセリエA開幕から参戦することとなった。
途中合流のせいで思うようにスタメン奪取できない。それは紛れもない事実だったのだが、「途中からの参加で、チームとしては望んでいない形だったので、使ってくれないのは当然」「あくまで途中から来たのでしょうがない」といった昨季のラティーナでの言葉にはどこか違和感も覚えた。石川らしくない言い訳のようにも聞こえたからだ。
実際にはそれを理由に諦めることなく、途中出場のチャンスや練習で懸命にアピールを続け、シーズン終盤にはスタメンを勝ち取って帰ってきたのだが、石川自身も引っかかっていたようだ。今季は開幕前から合流できると決まった時、こう話した。
「昨シーズン使ってもらえない時があったのは、途中参加でチームに馴染んでいないことも原因だと思っていました。でもそう思うことが嫌だった。最初から向こうに行って使ってもらえないんだったら、『自分の実力がないからだ』と白黒つけられる。その分頑張れるし、もっとここを伸ばさなきゃいけないとハッキリ思える。だから今回はどうしても最初から行きたかったんです」
大学最後のリーグ戦、インカレに出場しない決断。
開幕からの参戦は、「最初から行っていたらもっと出れたんじゃないか。いや、最初から行っても同じだったんじゃないか」という自分の中のもやもやした疑問に決着をつけるためにも必要なことだったのだ。
それは同時に、大学最後の秋季リーグや全日本インカレに出場しないという決断でもあり、いちバレー選手として海外で勝負していく覚悟の表れでもあった。ただ、大学のチームメイトのことは脳裏をよぎった。
「監督に話す前に、同期に言いました。彼らが『それは困る』と言ったら(開幕から海外には)行かなかったですけど、『いいよ』と言ってくれて、すごく応援してくれているので、自分の迷いも最小限に抑えられました」と石川は言う。