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大学最後の冬を石川祐希はどう戦う?
イタリアでのプレーは夢への第一歩。
posted2017/10/01 09:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
AFLO
プロ意識を常に持ちつつやっていきたい――。
記者会見中、石川祐希(中央大学4年)は何度もその言葉を発した。
9月26日、中央大学多摩キャンパスで、石川のイタリア・ラティーナ派遣についての記者発表会が行われた。本来なら石川が3度目のイタリア・セリエA参戦に向けて意気揚々と決意を語る場になるはずだったが、先日開催されたワールドグランドチャンピオンズカップで右膝を痛め、右膝内側側副靭帯損傷と診断されたため、10月15日のセリエA開幕戦出場は難しいという無念の報告になってしまった。
「しっかり怪我を治すことが、自分の今やるべきこと。迷惑をかけた分、治った時に今まで以上に頑張って、結果を出せればと考えています」と石川は淡々と語った。
今シーズン、石川はセリエAの“開幕から”参戦することにこだわった。
これまでモデナ、ラティーナとイタリアで2度プレーしたが、いずれも大学の大会をすべて終えた後の途中合流だった。昨シーズンのラティーナで石川は、それが大きなビハインドだと痛感した。
シーズン途中でのセリエA移籍で感じた難しさ。
大学1年で初めてモデナに行った時は経験を積めればよかったが、昨シーズンのラティーナ行きは、石川自身が海外リーグでプレーする必要性を強く感じ、中央大学の松永理生監督に訴えて実現したものだった。試合に出られることを重視して、強豪ではなく中堅レベルのクラブを選び、“経験”ではなく“結果”を求めて渡った。
しかし大学の全日本インカレを終え、ラティーナに渡ったのは12月7日。セリエAのレギュラーシーズンは約半分が終わっていた。すでにチームの布陣は固まっており、石川は最初、途中出場やリベロでの出場が続いた。その頃、こう語っていた。
「スタメンを獲りたいんですけど、途中参加というのがやっぱり一番、難しいところだと改めて感じています。チームが完成しているところに、コミュニケーションをまだしっかり取れない選手が、途中から来てスタメンというわけにはいかない。大きなマイナスポイントです。自分は中大所属なので難しいのはわかっていますけど、自分が成長するためには最初からこっちに来た方がいい。来シーズンは最初から来たいという思いは非常に強いです」