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日馬富士が凝縮された優勝翌日会見。
「いい見本と基本になってあげたい」 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byKyodo News

posted2017/10/02 07:00

日馬富士が凝縮された優勝翌日会見。「いい見本と基本になってあげたい」<Number Web> photograph by Kyodo News

激戦を制して9度目の本場所優勝を果たした日馬富士。負傷者続出の秋場所を支えきった。

次の世代に受け継いで行くのが相撲道ですから。

――次の世代に渡して行くとおっしゃいましたが、どんな思いで?

「相撲道ですからね。ちゃんとしたというか、いい見本でも基本でも見せて、それをまた次の世代に受け継いで行くのが相撲道ですからね。そういう意味で言いました。(もう)いいですか? ありがとうございます!」

――あ、ちょっといいですか? 横綱は毎日の生活や奉納土俵入りなどでも神様を大事にされてますが、土俵の神様が振り向いてくれたのって、何が一番大きかったのでしょう?

「それはわかりません(笑)。みんな努力してるわけですから、僕だけじゃないですから。何か意味があるんだろうね……。勝ったら嬉しいけど、負けたら悲しいわけですからね。勝ったから、嬉しいからって、そう(それだけを)受けないで、また相撲道、頑張ります」

 会見を終えてもしばらく座ったままの日馬富士が、「誰か! 誰かいる?」と声を張りあげた。現れた付け人に手を借りる。

 満身創痍の横綱は、序ノ口力士の手で引っ張り上げられ、やっと立ち上がる。

 その姿は、15日間にわたる孤独な苦闘を、何よりも雄弁に物語っていた。

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