フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ロシアW杯で優勝するのは仏代表だ!
最強軍団を率いる監督デシャンの苦悩。
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph byPierre Lahalle
posted2017/09/21 11:00
オランダ戦では華麗なプレーで得点、フランスを勝利に導いたムバッペだが、ルクセンブルグ戦では低調なプレーのまま無得点に終わり、結局ドローに。
「代表監督がこれほど豊富な人材を手にしたことはない」
いずれにせよ彼は、フランス代表の現状にはまったく満足してはいない。
だが、ブラジルワールドカップ準々決勝ドイツ戦(0対1の敗戦)のスタメン(ロリス―ドビュッシー、バラン、サコ、エブラ―ポグバ、カバイエ、マテュイディ―バルビュエナ、ベンゼマ、グリエスマン)やEURO2016決勝ポルトガル戦(延長の末0対1の敗戦)のスタメン(ロリス―サニャ、コシェルニー、ウムティティ、エブラ―シッソコ、ポグバ、マテュイディ、パイエ―グリエスマン、ジルー)と比べても、今のチームの方がそれぞれのセクションで優れたタレントを揃え、よりバランスが取れてコレクティブな強さを発揮しているのは、誰の目にも明らかである。
デシャンと同時代に代表の主軸のひとりだったエマニュエル・プティは、ジュルナル・ド・ディマンシュ紙のなかでこう述べている。
「私が知る限り、代表監督がこれほど豊富な人材を手にしたことはない。エメ・ジャケ('98年フランスワールドカップ優勝監督)やロジェ・ルメール(EURO2000優勝監督)でもこれほどではなかった。ディディエが抱えるのは贅沢な悩みだ」
これだけのタレント揃いだと言い訳の余地は……。
デシャンは8月30日付けのパリジャン紙のインタビューで、代表監督6年目のシーズンをこう語っている。
「新しい力と野心、意志を持って迎えることができた」と。
それは悪いことではない。要求が高まりチームのレベルが上がれば、それだけ監督の役割も重大になる。
デシャンには的確な判断が求められる。換言すれば、才能豊かなグループから能力の100%を引き出すこと、集中力とハーモニーを維持し続けること、あらゆる事態を予測し、どんな小さなディテールも事前に検討すること……。
そこには言い訳の余地はない。