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FC今治新スタジアムはこだわり満載!
岡田オーナーは自分の足で確かめる。
posted2017/09/17 08:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Toshio Ninomiya
岡田武史オーナーは、ひっきりなしに動いていた。
9月10日、愛媛県今治市は真夏のような暑さに包まれた。
JFLに所属するFC今治の「ありがとうサービス.夢スタジアム」が完成し、こけら落としとなるヴェルスパ大分との試合前には盛大な“出港式”が行なわれた。
太鼓の音とともに舟の帆を上げるかのようにクラブの旗が引き上げられ、クラブカラーの青色と黄色の風船が舞い上がる。岡田オーナーと親交のあるEXILEのUSA、タレントの友近らが来場し、オープニングイベントを盛り上げる。キックオフのボールをドローンに運ばせ、チームアドバイザーのラモス瑠偉が受け取る。集まった来場者は、5241人。チケットは完売し、満杯の「夢スタ」は人であふれた。試合も3-1で4試合ぶりとなる勝利を挙げ、まさしく最高の船出となったのだった。
岡田オーナーは心地良い疲れに浸りながら言った。
「今治のサポーターで本当にサッカーが見たくてという人はまだそんなに多くはないのかもしれない。ただ街中は閑散としていてもここに来たらにぎわいがあるとか、絆ができる。そういうものを与えたくて、ここをフットボールパークにしようと。要はサッカーを知らなくても楽しかった、勝てなかったとしても来て良かったと笑顔で帰っていただく場所にしたい」
J3の条件をクリアする、こだわり満載のスタジアム。
総工費3億円強のサッカー専用スタジアム。5000人超の収容、天然芝は、J3参入の条件をクリアする。
大都市にスタジアムを建てるわけではない。人口15万5000人の今治は、人口減少の問題を抱えている。
ここにスタジアムが建つの? ここに5000人も集まるの?
周囲から半信半疑の目を向けられつつ、今治市から無償で土地の貸与を受けて自前で建てた。まさにオーナーのこだわり満載。観客席の一部を舟の形にし、バックスタンドを設置しないことでメインスタンドからは今治市街と瀬戸内海をのぞむ。「イングランドのように」観客席からピッチまでの距離が「近すぎる」のも特徴だ。簡易的なつくりとはいえ、至るところに岡田の思いが詰まっていた。