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ネイマールがきっかけとなった、
世界的移籍金バブルの裏側。

posted2017/09/19 07:00

 
ネイマールがきっかけとなった、世界的移籍金バブルの裏側。<Number Web> photograph by Richard Martin

PSGサポーターの前で移籍の挨拶をするネイマール。彼が、移籍金の狂乱市場を生み出した張本人である。

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ロベルト・ノタリアニ&パトリック・ソウデン

ロベルト・ノタリアニ&パトリック・ソウデンRoberto Notarianni et Patrick Sowden

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Richard Martin

 フランス・フットボール誌8月29日号は、翌週発売の9月5日号とともに2週連続で移籍特集を組んでいる。ネイマールの史上最高額移籍に端を発し、ウスマン・デンベレ、キリアン・ムバッペと続いた1億ユーロを超える超高額移籍のすべてにフランスが絡んでいることもあり、同地の移籍への関心は高い。

 ロベルト・ノタリアニ、パトリック・ソウデン両記者が、サッカー経済のあり方を変えたとさえいえるこの夏の移籍市場の実態が、具体的にどうであったかをまとめている。数字という客観的なデータが、事態の異様さを端的に示している。

監修:田村修一

2017年夏高額移籍ベスト10 (8月27日現在)

1.ネイマール(バルセロナ→PSG)2億2200万ユーロ
2.キリアン・ムバッペ(モナコ→PSG)1億8000万ユーロ(完全買い取りのオプションつきで、正確な移籍額は来季にならないとわからない)
3.ウスマン・デンベレ(ボルシア・ドルトムント→バルセロナ)1億500万ユーロ(+4200万ユーロのボーナス)
4.ロメル・ルカク(エバートン→マンチェスター・ユナイテッド)8480万ユーロ(+1695万ユーロのボーナス)
5.アルバロ・モラタ(レアル・マドリー→チェルシー)6470万ユーロ(+1340万ユーロのボーナス)
6.べンジャミン・メンディ(モナコ→マンチェスター・シティ)5520万ユーロ(+230万ユーロのボーナス)
7.アレクサンドル・ラカゼット(リヨン→アーセナル)5300万ユーロ
8.カイル・ウォーカー(トッテナム→マンチェスター・シティ)5110万ユーロ(+500万ユーロのボーナス)
9. ベルナルド・シウバ(モナコ→マンチェスター・シティ)5000万ユーロ
10. ギルフィ・シグルズソン(スウォンジー→エバートン)4940万ユーロ

「あり得ない」移籍も、金額次第で成立するご時世。

 最終日の打ち上げ花火があがる前から、この夏の移籍市場は史上かつてない高額に達している。

 それはまるで三文芝居を見ているようだった。当初、ボルシア・ドルトムントは、チームの宝であるウスマン・デンベレの移籍は、どれほどの金額を提示されてもあり得ないと断言していた。だがそれは、すぐに最低1億5000万ユーロの価値があるに変わった。

 とてつもない金額を示すことで、獲得を狙うクラブに二の足を踏ませたかったのだろう。ところが最終的に、この木曜から金曜の夜(8月25日)の間に正式に決まったのは、1億500万ユーロをベースに4200万ユーロのボーナスを付帯したうえでの移籍だった。

【次ページ】 「クラブ史上最高額の移籍」がやたらと増えた今季。

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