フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ネイマールがきっかけとなった、
世界的移籍金バブルの裏側。
text by
ロベルト・ノタリアニ&パトリック・ソウデンRoberto Notarianni et Patrick Sowden
photograph byRichard Martin
posted2017/09/19 07:00
PSGサポーターの前で移籍の挨拶をするネイマール。彼が、移籍金の狂乱市場を生み出した張本人である。
選手の評価額がバブル化していないか?
昨シーズン、プレミアリーグ第3位となる13アシストを記録したシグルズソンは、たしかに好選手ではあるが、ここまでプレミアに何ら大きな足跡を残してはいない。昨季は9得点で、得点が最も多かったシーズンでも'15~'16年の11点にすぎない。
もちろんPSGがネイマールの移籍に2億2200万ユーロを支払ったことには、多くの人たちが嫌悪感を示した。だが彼がパルク・デ・プランスに到着する以前から、移籍市場は沸騰していた。
例えばマンチェスター・シティは、3人のディフェンダーを獲得するために1億3000万ユーロ以上を使っていた(モナコのべンジャミン・メンディに5520万ユーロ、トッテナムのカイル・ウォーカーに5110万ユーロ、レアルのダニーロに3000万ユーロ)。
またACミランは、4000万ユーロ(プラス200万ユーロのボーナス)でユベントスから獲得したレオナルド・ボヌッチを直ちにキャプテンに指名した。メンディ(2位)とウォーカー(4位)、ボヌッチ(10位)は、ダビンソン・サンチェス(同じく10位、アヤックスからトッテナムに移籍)とともにディフェンダーの高額移籍史上トップ10に名前を連ねている。
さらには移籍期限ギリギリで、10人以上のディフェンダーが2500万ユーロかそれ以上の金額でクラブを替わったのだった。
あの穏やかなブンデスでさえ、移籍金高騰から逃れ得ず。
インフレの波はゴールキーパーにも及んでいる。
ベンフィカのブラジル代表、エデルソンは4000万ユーロでマンチェスター・シティに移籍し、イングランドの若手GKジョーダン・ピックフォードは2850万ユーロでサンダーランドからエバートンに移った。
このふたつは、GKの移籍史上2番目と3番目の高額(トップは2001年にパルマからユベントスに移ったジジ・ブッフォンの5300万ユーロ)である。
さらに5大リーグの中では移籍市場が最も穏やかなブンデスリーガでも、バイエルン・ミュンヘンがリヨンから4150万ユーロでコランタン・トリソを獲得し、同クラブ史上最高額記録を更新したのだった。