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後藤武敏、CS進出への密かな想い。
「松坂と対戦したいなあ。それが夢」
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byKyodo News
posted2017/09/15 07:00
今季は後半戦まで初安打はお預けだったが、その長打力と人柄はベイスターズに欠かせない。
悔しさがなくなったら終わりだと思ってる。
代打という難しさはあるにせよ、ベイスターズでその役割を担えるのは、ライオンズ時代に日本一になったことのある後藤しかいない。
残りわずかな試合、どれだけバットで貢献できるか。2年連続のCS進出へ勝負の時を迎えているチームのために、そして自分自身が生き残るために結果を出さなければならない。
「悔しさがなくなったら終わりだと思ってる。でも、長年やってきたというのもあるし、まだまだ若い子たちには負けたくない。そういう気持ちがある限りは続けたいなって思いますね」
闘志を燃やす燃料となっている1つの夢がある。後藤は記憶を遡る。
「高校時代、甲子園に行く前のシート打撃で3球連続で空振りしたんですよ。真っすぐ投げるぞって教えてくれてたのにね。すっげえと思ったね。強烈な印象が残ってる」
「それだけはやっぱり叶えたいんですよね」
その時、マウンドにいたのは松坂大輔だ。
「松坂とここで対戦したいなあ。それはあいつが日本球界に戻ってきてからの夢。それだけはやっぱり叶えたいんですよね」
ライオンズでは同僚となり、日米に距離は離れ、その後、松坂はパ・リーグを新天地に選んだ。リベンジの機会は意地悪なほどにやってこなかった。
1人だけでは叶えられない夢。ゴメスとダイスケの全力勝負。
松坂世代の仲間たちも、日本中のプロ野球ファンたちも、その実現を楽しみにしている。