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宮里藍と朴セリの引退で思うこと。
2人の言葉の共通点と、唯一の違い。
posted2017/09/13 08:00
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
いよいよ今週、今季限りでの引退表明をした宮里藍が現役最後の試合に臨む。
高校3年時の日本ツアー初優勝を皮切りに、日米通算24勝を挙げた。2010年には日本人選手として初の世界ランク1位にも上り詰めた。宮里の活躍が、現在の女子プロゴルフの人気の礎を築いたのは言うまでもない。
昨年引退した朴セリ(韓国)も同様である。米メジャー5勝を含む通算39勝を挙げて、韓国勢が世界的に活躍するきっかけとなった。
母国の女子ゴルフ界をリードし続けた両選手は、後輩らの憧れのスターであり、ファンからとても愛された存在だった。
朴の引退セレモニーは昨年10月の「ハナバンク選手権」で行われ、米韓ツアーの選手たちやファンが大勢駆けつけた。一方、宮里にとって日本での最後の試合となった「サントリーレディスオープン」は、大会史上最多の観客数を記録した。
常にファンやメディアから注目されたプロ生活を朴と宮里は、どう思っていたのだろうか。両選手の引退の言葉を紹介したい。
「人生とゴルフのバランスを取るべきだし……」
<朴セリ:昨年7月、全米女子オープンゴルフの公式記者会見>
「小さい時にプロゴルファーになることを夢見て、実際にプロになれて、(プロになれたから)世界のトップ選手を目指して、またそれも実現できて、夢を叶えられたはずだったのに幸せではなかったんです。はたから見たら、若い時に成功し大金を稼いで、すごく幸せに見えたと思います。
ですが、私はゴルフのことばっかり考えて、楽しくありませんでした。もちろん優勝してトロフィーを掲げた瞬間は幸せでしたよ、だって、そのために頑張っていたので。でも、優勝セレモニーを終えて、ホテルに帰って1人になると孤独を感じて……ある時にハッと気づいたのは、ゴルフをしてない時に、何をしていいのか分からなかったということ。人生を楽しもうという発想すらなかったんです。だから、人生とゴルフのバランスを取るべきだし、人生は楽しんだほうがいいと学びました。後輩にも『ゴルフと人生を両立したほうがいい』とアドバイスしています」