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高騰する移籍金はどこから出てる?
ネイマール290億円移籍の背景。
posted2017/09/13 11:00
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph by
AFLO
2億2200万ユーロ(約290億円)
(ネイマールの移籍金)
近年、欧州サッカー界における移籍金の額が高騰しています。
昨夏は、ユベントスに所属していたポール・ポグバに対し、マンチェスター・Uが当時の史上最高額となる8930万ポンド(約127億円、1ポンド=142円換算)もの値をつけました。
今夏もロメル・ルカクが7500万ポンド(約107億円・エバートン→マンU)、カイル・ウォーカーがDFとしては当時史上最高額とされる推定5000万ポンド(約71億円・トッテナム→マンC)、エデルソンがGKとして歴代2位となる4000万ユーロ(約52億円、1ユーロ=130円換算・ベンフィカ→マンC)で移籍を果たしています。
そして、最大の注目を集めたのがネイマールでした。文句なしの史上最高額、2億2200万ユーロ(約290億円)で、バルセロナからパリ・サンジェルマン(PSG)への移籍が実現しました。
なぜ移籍金はこれほど高騰しているのか? このお金はいったいどこから出てくるのか?
今回は、その背景を考察してみたいと思います。
5年間の増収分の半分を、移籍金が占めている概算。
まず言えるのは、欧州サッカー界全体が成長を続けている、ということです。
2010~2015年にかけて、欧州主要リーグのクラブチームの収入は年平均約6%で成長。この間、移籍金総額は年平均約8%の伸びを見せています。
また別のソースを見ると、2010-11シーズンから2016-17シーズンにかけての6年間で、欧州5大リーグに属するクラブの収入は年平均約9%成長。移籍金総額は年平均約18%も伸びています(図参照)。
収入における移籍金の割合は25%前後ですから、データを用いて単純化すると、「100」の収入が1年後に「109」となり、「25」の移籍金は(年率18%で)「29.5」になった、ということになります。あくまで概算ですが、増収分の半分を移籍金が占めている計算です。