酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
イチローの誰も知らない大記録。
24年前の「46試合連続安打」。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/09/07 11:00
「イチロー」の登録名となった'94年に大ブレークを果たした。しかし「鈴木一朗」の頃、二軍でその才覚は発揮されていたのだ。
野茂相手にプロ初本塁打を放ったが、再び二軍へ。
しかし鈴木一朗の2年目は外野の控え扱いだった。藤井康雄、新外国人タイゲイニー、高橋智、内野から外野にコンバートされた田口壮らの外野手がいる中、守備固め、代走での起用がメーンで11試合12打数1安打にとどまり、4月24日の試合終了後、二軍行きを命じられる。
ここから二軍での安打記録が再び始まる。4月25日の由宇でのウエスタン・リーグ、広島戦、1番中堅で出場した鈴木一朗はさっそく2安打を放ち、ここから13試合連続安打。前年からの連続試合安打は「29」にまで伸びた。
この活躍ぶりに首脳陣は5月21日の神戸球場、西武戦から鈴木を再び一軍に引き上げた。
6月12日には新潟県の長岡市悠久山球場の近鉄戦で、野茂英雄からプロ入り初本塁打を記録するが21試合33打数7安打にとどまり、7月6日には再び二軍落ちした。
仰木監督のもと「イチロー」となった3年目に……。
ここからイチローは、フレッシュオールスター(2打数0安打)を挟んでさらに17試合連続安打を記録したのだ。空前の二軍での連続試合安打が「46」で途切れたのは8月8日、滋賀県湖東球場での阪神戦、一番中堅で出場し、阪神先発・三笘義太郎の前に3打数0安打に倒れた。
二軍の46試合連続安打は、1992年6月20日から1993年8月7日まで、1年以上かけて達成された。以下、1993年の成績だ。
一軍:43試合64打数12安打1本塁打3打点0盗塁 打率.188
二軍:48試合186打数69安打8本塁打23打点11盗塁 打率.371
翌'94年、仰木彬新監督は鈴木一朗の異能ぶりに驚き、イチローと登録名を改めさせ重用する。
2月21日の宮古島での横浜とのオープン戦第1戦では、1番中堅で先発し、友利結からランニング満塁ホームランという破天荒なスタート。
開幕後も不動の1番打者として固定され、この年はNPB記録の210安打を記録、打率.385で首位打者、MVPを受賞、スターダムに躍り出た。