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MLB最強の小さな巨人アルトゥーベ。
160cm台のレジェンドは過去にも。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byGetty Images

posted2017/09/02 09:00

MLB最強の小さな巨人アルトゥーベ。160cm台のレジェンドは過去にも。<Number Web> photograph by Getty Images

チームメートと並ぶと小ささが際立つアストロズのアルトゥーベ。この体格でOPS9割台後半をマークすれば、自然と尊敬の念は集まる。

連続MVPのモーガン、打撃タイトルを獲ったパケット。

 '40年代から'50年代にかけては、フィル・リズトー(167.5cm)が際立っている。ヤンキース一筋の遊撃手で、兵役が3年あったために実働年数は13年だが、'50年には打率=3割2分4厘、WAR=6.7の好成績でMVPに選出されている。今季終了時、アルトゥーベのWARがこれを上回れば、身長168cm以下の選手のなかでは20世紀以降最高の数値となる。

 もっと近いところでは、ジョー・モーガン(170cm。二塁手)やフレディ・ポーテク(165cm。遊撃手)やカービー・パケット(173cm。外野手)の名が浮かぶ。モーガンやパケットは、現役時代の姿を覚えている人も少なくないだろう。

 モーガンは、'75年、'76年と2年連続でMVPに輝いた。2年連続でワールドシリーズを制したレッズ(ビッグ・レッド・マシーン)の中心選手で、出塁率が高く、小柄なのにパワーがあるところは、アルトゥーベと共通する。'76年には出塁率=4割4分4厘、本塁打=27本というめざましい成績を残している。

 豆タンクの異名をとったパケットも懐かしい。シカゴのスラムで生まれ、ワールドシリーズ制覇は2度経験している。緑内障のため30代中盤で引退し、心臓病のため'06年に45歳の若さで急死した人だが、ミネソタのセンターを守ってゴールドグラヴを6回受賞し、首位打者と打点王も1度ずつ獲得した。

アルトゥーベとジャッジの身長差は33cm。

 アルトゥーベは、これら名選手に伍してもまったく引けを取らない。もしかすると史上最高の「小さな大選手」になる可能性も秘めている。それにしても、打撃各部門でしのぎを削るアーロン・ジャッジ(200.5cm)との身長差は33cmもある。

 われわれの眼は、どうしても背の低いアルトゥーベに向かいがちだが、実をいうとジャッジも球界では少数派だ。サイ・ヤング賞有力候補のクリス・セールや本塁打王本命のジャンカルロ・スタントンは198cm止まりで、ジャッジよりものっぽの有名選手といえば、アンドルー・ミラー、デリン・ベタンセス、ダグ・フィスター、クリス・ヤングぐらいしか見当たらない。全員が投手で、ヤングの身長は、馬場正平(ジャイアント馬場)と同じ208cmだ。そういえば、楽天イーグルスで1年だけ投げたルーク・ファンミルは216cmの長身だった。大リーグ経験はないが、オランダ代表としてWBCには参加していた。アルトゥーベとの勝負を見てみたい気もする。

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