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信長と山崎武司とおろしかつ丼。
岐阜→大阪連戦という野球観戦の妙。 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasutaka Nakamizo

posted2017/08/17 11:00

信長と山崎武司とおろしかつ丼。岐阜→大阪連戦という野球観戦の妙。<Number Web> photograph by Yasutaka Nakamizo

美味しい食べ物が、人生における大きな決断を左右することがある……大学進学もそう、巨人・畠に対する思いにしてもそう。

大好きな野球を観て、大好きなご飯を食べて……。

 いつの時代も、美味い食べ物は人生を変える力がある。

 20年近く前、大学受験で天王寺のビジネスホテルに泊まり、夜はひとり街をぶらついた。そして今の「あべのキューズモール」の場所に、立ち食いの一杯200円のうどん屋があって、あまりのいい匂いに誘われ、かけうどんを注文した。つゆが茶色じゃないな、味すんのかよこれ……なんつって半信半疑で一口食べたら、そのまろやかな味に驚いた。

 大阪はこんな美味いものが200円で食べられるのか。

 この街を一発で気に入った。

 よし大学は東京じゃなく大阪に来よう!

 なんて単純なんだ……と思わないわけではないが、いわば大阪初日に食べた一杯のかけうどんによって人生が変わったのである。

 うどんが導いた大阪ライフは巡り巡って、また京セラドームに辿り着いた。試合は巨人先発のルーキー畠世周が広島打線に捕まり、序盤で4失点だ。残念ながら、今日も敗戦濃厚。まぁしょうがない。

 だって畠の年齢の頃、俺は実家から仕送り貰っておろしかつ丼を食ってたからな。

 そう思うと、不思議と怒りは湧いてこなかった。

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