ぶら野球BACK NUMBER
信長と山崎武司とおろしかつ丼。
岐阜→大阪連戦という野球観戦の妙。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2017/08/17 11:00
美味しい食べ物が、人生における大きな決断を左右することがある……大学進学もそう、巨人・畠に対する思いにしてもそう。
年に一度の“祭り”としての試合は、いつも大混雑!
野球好きの間で度々話題に上がる球団拡張案。
自分も16球団の3地区制にしたら面白いのではと能天気に思っていたが、駅からのアクセスがよく、飲食の販売スペースやトイレの数を確保できる球場というのはそうあるもんじゃない。地方球場の多くは最寄り駅からシャトルバスでしばらく揺られ、何より球場内に飲食の販売スペースがほぼないので、試合前は即席の出店が構内に並び、ただでさえ狭い通路が恐ろしく混雑してしまう。
年に1度の祭りならばそれでもいい。しかし、年間70試合近くを開催することになったら、大幅な施設改築(というかアクセスのいい場所に新球場建設)が必要になってくるだろう。
理想だけではどうにもならない現実がそこにはある。
何年か前に国会でも話題になった球団拡張案だが、ぜひ政治家の方々にも『ぶら野球』を体験してもらいたいものである。
人生を変えてくれた“大阪の食”との再会。
京セラドーム1日目は5200円の3塁側指定席S。さすがに周囲には真っ赤なカープファンも多い。
それにしても懐かしい風景だ。
16年前、確かに自分はこの場所に通っていた。『スター・ウォーズ』に出てきそうなSF映画っぽい銀色の螺旋状の屋根、あの頃ブルーだった座席は年月の経過とともに色褪せて水色に変色している。
変わったものと変わらないもの。
実は球場に来る前にすでに阿倍野橋の馴染みの店に足を運んだ。「あべのルシアス」内にある変わりカツ丼店『祭太鼓』である。何の自慢にもならないが、大学時代は週1回以上のペースで通ったので計150回以上は食べていると思う。死ぬ前に好きなものを食べていいと言われたら、最後の晩餐にはここの「おろしかつ丼」を選ぶ。おろしかつ丼シングル並ロース570円。安いを通り越して、怖い。美味すぎて怖い。