“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
炎天下で連戦するIHサッカーの死闘。
日大藤沢が考えた17人で勝つ方法。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/08/14 07:00
決勝戦では流通経済大柏に負けてしまった日大藤沢だが、最後まで彼らの脚と心は衰えなかった……。
優勝した流通経済大柏も、ケガ人は0だった!
優勝した流通経済大柏を見ても、空中戦を得意とし、屈強なフィジカルを誇るストライカーの安城和哉、決定力の高いアタッカーのMF時岡寛拓とMF近藤潤という、「1人のストライカーと2人のスペシャリスト」のうちの2人をベンチに置くと、残り3枠はポリバレントな選手を配置していた。
流通経済大柏もまた、この5連戦の中でケガ人が1人もいなかった。長崎総科大附属と前橋育英の優勝候補とのビッグゲームを連勝し、決勝も最後まで運動量が落ちずに2度目の優勝を成し得たのは、日大藤沢同様に「17人のマネジメント」が光っていたからに違いなかった。
この両チームがファイナルを戦い、最後は地力で勝る流通経済大柏が激戦を1-0で制す。これはまさに必然の流れであったのだった。この両チームの「17人のマネジメント」に改めて賛辞を贈りたい。
IHで、サッカーだけ改革していくことは難しいが……
しかし、インターハイは本当にこのままでいいのであろうか。
真夏の炎天下、17人で連戦を回していく過酷さを毎年のように目の当たりにしている筆者は、インターハイが20人登録制にならないかと長らく訴え続けてきた。
もちろん予算の問題が大きく横たわるのは理解出来る。インターハイはサッカーだけの大会ではなく、様々なスポーツの真夏の祭典。ゆえにサッカーにだけ改革を施すようなことは出来ないかもしれない。しかし、今年こそ比較的暑さが抑えられた大会となったが、これが通常のように強烈な暑さの中での連戦となったら、再びこの問題がクローズアップされることは間違いない。
どの監督に聞いても、「本当はインターハイを経験させたい選手がいたが、控え選手のバランスを考えると入れられない選手がいる」と異口同音に話した。たった3人であるが、その3人が増えるだけで、戦い方の幅は広がり、1人の選手の酷使の危険性も減る。さらに選手の経験値も広がり、インターハイを経て一気に成長していく選手はより増えるはずだ。