“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
炎天下で連戦するIHサッカーの死闘。
日大藤沢が考えた17人で勝つ方法。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/08/14 07:00
決勝戦では流通経済大柏に負けてしまった日大藤沢だが、最後まで彼らの脚と心は衰えなかった……。
途中出場でも必ず試合の流れを変えてきた。
最初の山場となった2回戦の昌平(埼玉)戦では、0-1で迎えた56分に三田野が投入されると、直後の58分にファーストプレーで同点弾を挙げ、59分にはオウンゴールを誘発して逆転。一気に試合をひっくり返し、2-1の勝利を掴みとった。
3回戦の帝京第三(山梨)戦では、0-0で迎えた43分にギブソン・マーロンが、46分に三田野が投入されると、三田野のポストプレーとギブソン・マーロンのボールキープが、こう着状態だった試合を徐々に日大藤沢ペースに持っていった。62分に三田野のクロスのこぼれをMF小屋原尚希が決めて先制すると、後半アディショナルタイムには投入したばかりの岩崎が起点となり、ギブソン・マーロンがトドメのゴールを決めた。
準々決勝の旭川実業(北海道)戦でも三田野、ギブソン・マーロン、岩崎の3枚のカードを切った後に決勝弾が生まれ、アディショナルタイムには菊地が投入され、試合を締めた。
そして今大会2つ目の山場となった準決勝・市立船橋(千葉)戦では、58分に失点し、0-1にされると、そこからギブソン・マーロン、岩崎、菊地を立て続けに投入。すると後半アディショナルタイムのラストプレーで菊地が起死回生の同点ゴール。PK戦ではこの3人が全員成功し、前年度覇者を下す金星をもたらした。
風呂につかってしまうと緊張感が無くなるので……。
ただ、ファイナリストになったのは、選手交代の妙だけではない。
「6試合を逆算したときに……まず考えたのが『疲労=怪我』ということ。いかに怪我をさせないかと考えたときに、僕らは仙台入りをなるべくギリギリにしました。そして、素晴らしい旅館に泊まっていたのですが、大風呂に入らないで、シャワーで済ませることを徹底しました。緊張感を持ちながらも、かつ疲労を取るにはどうすべきかを考えていたのですが、シャワーで汗を流し、後はマッサージとストレッチで乳酸はきちんと取っていくというやり方でした。
結局、大会中は誰一人離脱しなかった。
3回戦と準々決勝の中日も、練習の強度を緩めなかった。そうしたら流通経済大柏は紅白戦をやっていた。『あ、同じだな』と思いましたね(笑)。いかに緩めないで戦うか。1試合ごとに一息ついてしまって、ビッグゲームの後に良いパフォーマンスが出せないチームが多かった。僕らはそう言うことが無いように戦えた。
怪我をさせない、気持ちも身体も緩めない。入ったら緊張感を持ってやる。そうじゃないと、僕らはファイナリストにはなれなかったと思います」