話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
強いチームには必ず“重石”が。
柏を支える細貝萌&大谷秀和の2人。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/08/11 08:00
2010年以来となるJリーグへの帰還を果たしたが、スタメンをつかめてはいない。それでも腐らないのが細貝萌という男なのだ。
鹿島の小笠原、のような存在に。
こういう選手がいるチームは、負けても簡単には崩れない。
たとえば鹿島には小笠原満男がいる。小笠原は毎試合出場しているわけではないが、ベンチで若い選手のプレーに目を光らせている。鹿島はいろんな意味で厳しいチームだが、ベテランが背後に控えている緊張感や競争がいいプレーを生み、勝ち点3を積み重ねることができる要因になっているのは間違いない。監督が代わっても鹿島らしくブレずに戦えているのは小笠原らベテランの存在があるからだろう。
神戸戦、柏のスタメンの平均年齢は24.7歳で、神戸より4.3歳も若かった。
若い選手が多いチームは、勝っている時は勢いがあるが、負けが続き、勢いを失うと立て直すのが難しくなる。そういう時、ベテランがチームを引っ張ることが求められるわけだが、神戸戦はまさにそういう試合だった。6月25日の札幌戦に勝ってから7月は鹿島、セレッソ大阪に連敗し、仙台戦も1-1のドローに終わるなど、勝利から見離されていた。勝利が必要だった神戸戦では前半、プレスが甘いとみるやキム・ボギョンやディエゴ・オリヴェイラを大谷が前線からのプレスに動かすなどチームをうまくコントロールし、後半に逆転して勝ち点3を獲得した。
細貝は、「前半、試合の流れがよくなかったけど、後半立て直して勝てたのは大きいし、ポジティブにとらえていいと思います。チームの雰囲気もいいし、これからですよ」と笑顔を見せた。
今、柏は若手が先頭に立ち、伸び伸びとプレーしている。それが結果につながっているが、それはベテランの大谷、細貝がしっかりと後方支援しているからだ。特に試合に出場できない選手の声や悩みを受け止めている「ハジさん」の影響力と存在感は、同じドイツから移籍してきた神戸のポドルスキも及ばないほど絶大なのである。