話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
強いチームには必ず“重石”が。
柏を支える細貝萌&大谷秀和の2人。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/08/11 08:00
2010年以来となるJリーグへの帰還を果たしたが、スタメンをつかめてはいない。それでも腐らないのが細貝萌という男なのだ。
宇佐美も浅野も柏の選手も、細貝に助けられている。
そうした謙虚な姿勢は、細貝の性格でもある。
チームのためにという意識が強く、エゴ的なプレーを見せることがない。監督から指示されたことをしっかりこなす真面目なタイプだ。また、非常に面倒見がいい。ドイツ時代は宇佐美貴史、浅野拓磨らの食事など生活面を始め、いろんな面倒を見ていた。宇佐美は「ハジ君は優しくて本当にお世話になった」と感謝していたし、チームメイトだった浅野も「ハジさんには食事を始め、生活面でも支えてもらい、すごくお世話になりました」と、細貝の面倒見の良さに感動していた。
そうした姿勢や面倒見の良さは柏でも変わらない。
クラブハウス2階の『ピアノ』で食事をしながら若い選手にドイツの話をしたり、相談に乗ったり、若い選手の兄貴分になっている。また、試合に出らない状況が続いても決して腐らず、文句も言わず、それでいてトレーニングはしっかりこなす。そういう姿勢を見せられた若い選手は、やらずにいられない。細貝は公私ともに存在感を増しているのだ。
大谷の姿勢も、若い選手への影響が大きい。
細貝以外にも柏には大谷秀和という生え抜きのベテランがいる。
「おじさん扱いされるけど、練習は若い選手と同じメニューをこなしています」と笑うが、ピッチでは自分のプレーを発揮しつつ、彼らがやりやすいように全体をマネジメントしている。
また、下平隆宏監督が就任した時も、中谷ら若手の主力はユース時代に下平監督のやり方を学んでおり、すぐに監督の目指すサッカーに対応できたが、大谷はそのサッカー習得のために若い選手に教えを乞うた。ベテランでも分からないことがあれば若手に聞き、学ぶ。こうしたことは30歳を超えるとなかなかできないが、やれるところに大谷の凄さがあり、若い選手はそういう姿勢を見ている。
大谷さんが自分たちに聞いてまで監督のサッカーを理解しようとしているんだから、分かっている自分たちはよりしっかりやらないといけないと思うだろう。もっとも大谷は分からないことを聞くだけではなく、暗に若い選手に俺以上にしっかりやれよというプレッシャーをかけていたりするのだが、そういうベテランと若い選手の関係が非常にいい流れになっている。