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天皇杯Jクラブ敗退は波乱じゃない?
国内3冠で最も難関タイトルな理由。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKyodo News
posted2017/08/01 07:00
メディアでは“格下”に負けるJリーグ勢とセンセーショナルに書き立てられるが、トーナメント制ならではの難しさがあるのだ。
天皇杯を多く獲得しているG大阪、鹿島の経験値。
Jクラブが序盤で姿を消すことがある一方で、昨年も一昨年もJ1のクラブがベスト8を独占している。2014年はJ2の3クラブが8強に食い込み、このうちモンテディオ山形が決勝へ進出したものの、J1のガンバ大阪がカップを掲げた。
天皇杯での上位進出とJ1残留(あるいはJ1昇格)を天秤にかければ、クラブの思いが後者へ傾くのは避けがたい。そのうえで言えば、天皇杯も国内3大タイトルであり、ACLへ連なる大会であるということだ。国内最古のカップ戦としての権威はもちろん、天皇杯をつかむ意味は1億5000万円の賞金にとどまらない。
2014年にJ1リーグ、リーグカップ、天皇杯の国内3冠を達成したガンバ大阪は、過去10年の天皇杯で最多4度の優勝を飾っている。国内3大タイトルをもっとも多く獲得している鹿島も、3度の優勝を記録している。
タイトルは選手を、チームを、高みへと導く。リーグ戦でもカップ戦でも、頂点を極める歓喜は飽くことが無い。
だからこそ、強豪と呼ばれるクラブはリーグ戦に負けない熱量を天皇杯にも注ぐ。新しいタイトルがクラブの足元を逞しくすることを、経験として理解しているからだ。
3大タイトルのなかでもっとも優勝するのが難しいのは、実は天皇杯かもしれない。リーグ戦やリーグカップよりエクスキューズが多い一方で、3大タイトルでもっとも多くの熱量を注げなければつかめないからである。