JリーグPRESSBACK NUMBER
天皇杯Jクラブ敗退は波乱じゃない?
国内3冠で最も難関タイトルな理由。
posted2017/08/01 07:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kyodo News
波乱という表現は、そもそも使えないのかもしれない。
サッカー天皇杯におけるJクラブの敗退だ。
ベスト16がほぼ出揃った2017年度の天皇杯では、筑波大学がベガルタ仙台とアビスパ福岡を連破した。国内のピラミッドでは“J4”にあたるJFLのヴァンラーレ八戸も、ヴァンフォーレ甲府を退けた。
福島県社会人リーグのいわきFCも、その名を全国へとどろかせた。“J7”に相当するカテゴリーの彼らが、J1の北海道コンサドーレ札幌を撃破したのだ。3回戦ではJ1の清水エスパルスに0-2で敗れたものの、リスクを恐れない勇敢なサッカーを披露した。
昨年はどうだったのか。1回戦でJ2のFC岐阜がJFLのHonda FCに、町田ゼルビアが神奈川大学に敗れ、2回戦ではJ1の名古屋グランパス、甲府、仙台がJ3の下に位置する都道府県代表のクラブに白星を献上した。J2の松本山雅FCも、Honda FCを止められなかった。
ヨーロッパのカップ戦を見てみても、格上が……。
ヨーロッパのカップ戦はどうだろう。
2016-17シーズンのドイツ・DFBポカールでも、カテゴリーの低いクラブが大会を盛り上げた。このシーズンのブンデスリーガ1部で旋風を巻き起こすライプツィヒが、2部のディナモ・ドレスデンに敗れているのだ。
1部が2部に負けることが例外的でなければ、1部が3部に敗れるのはどうだろう。ブレーメンが、3部のシュポルトフロインデ・ロッテに1-2で逃げ切られている。
1部と4部の対戦が、PK戦までもつれるのはどうだろう。ほぼベストメンバーといっていいマインツが、4部のSpVggウンターハヒンクと3-3の撃ち合いを演じ、PK戦で辛うじて勝利している。
ドイツのカップ戦でも、格上が当たり前のように苦杯をなめているのだ。延長戦やPK戦の末に1部のクラブが生き残った、というゲームも少なくない。