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J1上位陣が次々と敗退した天皇杯。
意外と知らないカップ戦の意義とは?
posted2014/10/11 10:50
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
AFLO
サッカー界は、ワールドカップが終わっても慌ただしい。
W杯による中断期間中も着々とスケジュールをこなしたJ2リーグ、ナビスコカップ、天皇杯はもとより、息つくまもなくJ1リーグが再開され、順位表を眺めて頭の中を整理するうちに欧州リーグの新シーズンも開幕した。
日本人選手の活躍を噛みしめる間もなくアギーレ・ジャパンが発足し、9月、10月と試合をこなす。飛び交う情報のあまりの多さに、何をどれだけ把握するべきか迷うばかりだ。
そうこうするうちに、2014年も残り約3カ月となって1年という時間の消化速度に改めて驚く。
47大会ぶりに元日に決勝がない天皇杯。
この時期になると年末年始のスケジュールを何となく頭に入れておきたくなるのだが、今シーズンのカレンダーは例年とは大きく異なる。サッカー界の風物詩である天皇杯決勝が、元日にないのである。
今季のファイナルは12月13日。元日に決勝を行わないのは第47回大会以来47大会ぶりというから、天皇杯が1世紀近くもの歴史を誇る大会であることを再認識する。と同時に、「元日決勝」が約半世紀にわたって行われてきたことにも改めて驚く。
少し大袈裟に言えば、47歳以下のサッカーファンにとっての元日決勝は、全人生における「当たり前の時間」だった。それがなくなるのだから、影響は実際に観戦に行かないファンにとっても、感情的にも小さくない変化だろう。
日程の変更は、来年1月に開催されるアジアカップを理由とする。日本代表が連覇を狙うこの大会は、1月9日に開幕。代表チームの「準備期間」を確保するため、天皇杯の日程が前倒しされた。その影響は、意外な形で結果に表れた。「ジャイアントキリング」とも呼ばれる波乱が、例年に増して頻発したのである。
ベスト16までの戦いにおいて、J1のチームがJ2以下のカテゴリーに属するチームに敗れる試合は実に「10」を数えた。