プロ野球亭日乗BACK NUMBER
高橋・巨人、後半戦の鍵握る2番打者。
山本泰寛と重信慎之介が競うが……。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/07/14 11:30
同期の山本と「2番打者」の席を競い合うこととなった重信。求められるのは「打撃」である。
山本泰寛という「つなぎ」のスペシャリスト。
高橋采配の1つの特徴は、先発投手でゲームプランを大きく変化させることにある。
菅野智之、マイルズ・マイコラス、田口麗斗と防御率2点台の安定した先発投手が投げる試合では、序盤でいかにゲームの流れをつかむかが大きなポイントになる。采配もまず1点、まず先取点を狙う作戦となるのだ。
1番の長野久義外野手が出塁すると、ほぼ送りバントで3番の坂本勇人内野手へとつなぐことになる。だからこの3人が先発するケースでは、マギーの「2番・二塁」での起用はほぼないはずなのだ。そういう試合で監督が求める2番の役割は「つなぎ」だからだ。
そういう野球で力を発揮する2番打者とすれば、現時点では山本泰寛内野手が一番だろう。
巨人の選手では珍しい「ファウルを打てる技術」。
山本はバントが上手い。ほぼ一発で送りバントを決められる。そこが大事でバントを一発で決めることで、初回の攻撃にリズムを作れる。
それともうひとつ別の山本の能力が、巨人では珍しくファウルを打てる技術だ。
開幕当初の巨人は1、2番を立岡宗一郎外野手と中井大介内野手で組むことが多かった。打撃の状態を見ながらこの2人を入れ替え、ときにはそこに橋本到外野手や石川慎吾外野手、辻東倫内野手が入ることもあった。
こうした若手打者たちの物足りなさの1番の原因は、「打てなければ終わり」という打撃にあった。
「好投手を攻略するには失投を逃さずに打つ」というのはバッターの基本戦略である。3割前後を打てる実績のある打者であれば、そこに徹するのは1つの相手投手の攻略法である。
その一方で日本ハムなどでは「先発投手にできるだけ球数を投げさせチームとして攻略する」というチームとしての戦略があり、例えば中島卓也内野手のような選手が高く評価される。
ただ、巨人の若手打者はなかなかそういう打撃ができない(意識がない?)のが1つの弱点だった。
その中で山本は打席で粘れる。