プロ野球亭日乗BACK NUMBER
高橋・巨人、後半戦の鍵握る2番打者。
山本泰寛と重信慎之介が競うが……。
posted2017/07/14 11:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
魔の13連敗に堤辰佳GMから鹿取義隆新GMへの交代劇など、激動となった巨人の前半戦。ただ、球宴直前の広島、阪神、ヤクルトとの9試合を7勝2敗で乗り切り4位に浮上。チームとしてのリズムを何とか取り戻しつつ、後半戦の巻き返しを図ることになる。
その前半戦最後となった東京ドームでのヤクルト戦で、高橋由伸監督は「2番・二塁」マギーという勝負手を打った。
連敗中には打線の得点力不足解消のために、2番に坂本勇人内野手を起用するなど様々なオーダーの入れ替えを行ってきた。そうした一連の打線編成は、いわば緊急対策的なものでもあったが、このマギーの「2番・二塁」起用は、後半戦の戦い方の1つのオプションとして試されたものと言っていいだろう。
マギーを「2番・二塁」で使うというオプション。
高橋監督がこのオーダーを決断した1つの理由には、この日の先発が今季未勝利の宮國椋丞投手だったことがあるはずだ。
要は「1、2点を取りにいくのではなく5点、6点と大量点を取って宮國を援護する」超攻撃的打線を考えたわけである。決して日本的2番打者ではなく、安打を打つことを仕事とする2番として、監督はマギーを指名したわけだった。
「つなぐ意識を強く持つのではなく、いつも通りのアプローチで臨んだ」
ここのところ状態がもうひとつで気分転換の意味もあり、もちろん本人もその辺の首脳陣の配慮もわかっている。結果として2番・マギーが3打数1安打2四死球と出塁したことで、打線が機能したのだから、指揮官の狙いはズバリと当たったわけである。
後半戦での起用を聞かれた高橋監督は「それはそのときによってですかね」と含みをもたせた回答だった。
マギーを「2番・二塁」で使うのは、阿部慎之助と村田修一両内野手と3人を同時に先発で使うときのオプションである。守備力はもちろん本職ではないが、それでもそこそこゴロの打球処理は無難にできるし、極端に下手ではない。ただ、例えば併殺をとれる場面でとれなかったりというリスクは生じるかもしれないし、それは覚悟の上である。
それでもそういうマイナスを飲み込み、先発投手との兼ね合いで打ち合う野球をシミュレーションするケースでは、このオーダーは強力な選択肢となるはずなのである。