テニスPRESSBACK NUMBER
錦織圭が予言した杉田祐一の躍進。
28歳、ついに「心の強さと運」が。
posted2017/07/07 07:00
text by
井山夏生Natsuo Iyama
photograph by
AFLO
杉田祐一がアンタルヤ・オープン(ATP250)で優勝した。この優勝によって杉田は日本男子として、松岡修造、錦織圭に次ぐ3人目のATPツアー優勝者となり、さらに最新のランキングでは44位に躍進。松岡の最高順位46位を抜いて歴代2位を記録した。2017シーズン開幕時の杉田のランキングは112位で、わずか半年でここまでランキングを上げたことになる。
優勝したことで初めて杉田に関する情報を得た方も多いだろう。それを補足する意味で、改めて杉田祐一というテニス選手のプロキャリア10年を振り返ってみよう。
「これだけ固まっているのだから誰か出てくるだろう」
で期待の声が囁かれていたのは2006年のことだった。会田翔(1988年4月28日生まれ。以下同)、伊藤竜馬(1988年5月18日)、富田玄輝(1988年7月13日)、杉田祐一(1988年9月18日)、一藤木貴大(いっとうぎ・たかひろ/1988年12月17日)、喜多文明(1989年1月21日)、そして錦織圭(1989年12月29日)という才能豊かな17歳~18歳が様々なアプローチで世界を目指していた。
「出てくる」という表現は、松岡修造のように世界のテニスシーンに登場する選手が現れるということだった。
その中でも当時から実績で抜けていたのは錦織圭だ。イタリア国際ジュニア・シングルス準優勝、全仏ジュニア・ダブルス優勝という特筆すべき成績を挙げていて、ジュニア年齢をあと1年残しながらすでに世界のトップクラスにいた。
錦織はこの頃からすでに日本テニス界のスターだった。問題は誰が錦織に続くのか? というもので、2番手として注目されていたのが杉田だった。
ジュニア時代の杉田の実績は圧倒的だった。最初に注目されたのは高1の時。杉田はワイルドカードで出場した全日本選手権で、16歳ながらベスト16まで勝ち上がった。