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錦織圭が予言した杉田祐一の躍進。
28歳、ついに「心の強さと運」が。
text by
井山夏生Natsuo Iyama
photograph byAFLO
posted2017/07/07 07:00
念願のウィンブルドン初勝利を手にした杉田。松岡修造氏の世界ランキング最高位を超えたこともエポックメイキングだ。
40度の酷暑の下でも快進撃が止まらない!
そうした最高の流れの中で向かったのが、トルコで初開催されたアンタルヤ・オープンだった。ウィンブルドンの前哨戦と位置づけられているものの、気温が40度に達する酷暑の中で有力選手は早々に敗退。
杉田が1回戦から戦ったのはマシュー・エブデン(272位)、ダビド・フェレール(39位)、ダニエル・アルトマイエル(252位)、マルコス・バクダディス(79位)、アドリアン・マナリノ(62位)。シード選手は2回戦で当たったフェレールのみだった。フェデラーと戦って自信を持っていた杉田は、強い気持ちで5試合を乗り切り、28歳にして初のツアータイトルを手にしたのだ。
66位だったランキングは44位までジャンプアップした。
「杉田君は20~30番に来ても不思議ではない」
錦織圭は以前、「100位前後にいる選手では、杉田君のテニスが一番しっかりしているので50位くらいにいてもおかしくない」と言っていた。その予言はランキングを44位に上げたことで実現した。
そしてウィンブルドン直前に杉田のことを聞かれた錦織は、「杉田君はストロークに弱点がないし、サービスだったり、前に出るプレーをもっと良くすれば20~30番に来ても不思議ではない」とコメントしている。遅咲きの男はそれだけの可能性を持っているということだ。
2007年のことを思い出す。京都チャレンジャーで松井俊英に勝利した杉田はインタビュールームにやってきて、「3人ですか! 寂しいな……」とため息をついていた。
今はもう違う。彼の前には世界の景色が広がっている。