スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ロナウドの「出て行く詐欺」疑惑。
スペイン人の過半数は彼を信じず。
posted2017/06/25 09:00
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
クリスティアーノ・ロナウドは本当に出て行くつもりなのか。
ここ数日、スペインメディアはその話題で持ちきりだ。
「ロナウドがスペインを出て行くことを望んでいる」
ポルトガル紙『ア・ボラ』が一面でそう伝えたのは6月16日。同紙によれば、クリスティアーノはその3日前に1470万ユーロ超の脱税容疑で起訴されたことに腹を立て、スペインから出て行くことを決意したという。
彼の怒りはスペインの税務当局のみならず、このような事態を避けるべく十分な根回しをしなかったクラブ、そして自身を犯罪者扱いするスペインメディアに対しても向けられているようだ。
コンフェデ杯出場中の本人は自身の去就についてコメントを避けているものの、ポルトガル代表のチームメートには「マドリーを出て行く。もう決めた。撤回はない」と伝えたとも報じられている。
その後の報道では、彼が2カ月も前から移籍を決意していたこと、代理人のジョルジュ・メンデスにマンチェスター・ユナイテッド復帰の可能性を探るよう要請していることなどが続々と伝えられている。
年俸の増額などを求める「出て行く詐欺」では?
だがその傍ら、彼が本気で移籍を望んでいるのかを疑問視する声も出てきている。
彼は移籍をほのめかすことで税務当局やクラブに圧力をかけ、問題解決や年俸の増額を訴えている。つまりは「出て行く詐欺」なのではないかという見方である。
クリスティアーノは焦点となっている脱税容疑を完全否定し、法廷で徹底抗戦する姿勢を見せている。ゆえに不当な支払いを強いられ、犯罪者のように扱われる国にこれ以上住み、税金を払いたくないという気持ちは理解できる。
しかし、それが移籍を決断させるほどの理由になるだろうか。
クリスティアーノにとってレアル・マドリーほど理想的なプレー環境は他にない。以前は「幸せではない」と発言することもあったが、それも過去の話だ。