スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
ロナウドの「出て行く詐欺」疑惑。
スペイン人の過半数は彼を信じず。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2017/06/25 09:00
ロナウドを買うのに400億円。これが高いのか安いかはクラブによって判断基準が異なることだろう。
マンUならともかく、400億円というのは……。
対照的に、クリスティアーノの選択肢は限られている。
思うに彼が本当に移籍しても良いと思っている行き先は、古巣のマンチェスター・ユナイテッドだけではないか。しかしモウリーニョはマドリー時代にこじれた個人的な関係以前の問題として、移籍金と年俸を合わせて4億ユーロにも及ぶコストを32歳の選手にかけることを望んでいないという。
他でそれだけのコストを賄えるクラブはパリ・サンジェルマンとチェルシーくらいしかない。実際、クリスティアーノは前者のオファーを手にフロレンティーノとの話し合いの席に着くという情報も出ている。
だが現在のマドリーと比べ、これらのクラブが優れている部分を見出すのは難しい。それはクリスティアーノ本人も分かっているはずだ。
このような状況を考慮すると、今回の退団騒動がどのような形で落ち着くにせよ、クリスティアーノにとってプラスになる結果が得られるとは考えにくい。
はたしてクリスティアーノは本当に移籍してしまうのか。それとも来季も何食わぬ顔でサンチャゴ・ベルナベウのピッチに立つのか。変に意地を張ることなく、後悔のない選択をしてもらいたい。