フランス・フットボール通信BACK NUMBER
女子のCL決勝は2年連続PK戦決着。
仏代表・守護神ブアディの意地。
posted2017/06/20 08:00
text by
トマ・シモンThomas Simon
photograph by
Stephane Mantey
時間を少し遡るが、男子と同じくウェールズのカーディフでおこなわれた今年のUEFA女子チャンピオンズリーグ決勝、初のフランス勢同士の対戦となった試合は、オリンピック・リヨン(OL)がパリ・サンジェルマン(PSG)をPK戦の末に下して優勝した。
2年連続の3冠(リーグ、カップ、チャンピオンズリーグ)であり、4度目の欧州CL制覇についてはフランクフルトと並ぶ最高記録である。
ヴォルフスブルクと対戦した昨年の決勝のヒロインは、攻守にわたり獅子奮迅の活躍を見せ、PK戦で5人目のキッカーを務めた熊谷紗希だった。
同じくPK戦までもつれ込んだ今年は、PSGの3人目ジェヨロのキックを止め、8人目のキッカーとして自らチームを勝利に導いたゴールキーパーのサラ・ブアディがプレイヤーオブザマッチに選ばれた。
『フランス・フットボール』誌6月6日発売号では、トマ・シモン記者がそのブアディに焦点を当ててレポートしている。
1986年生まれの30歳。リヨンで4度のチャンピオンズリーグを経験し、フランス代表歴も115回を数えるブアディとはいったい何者であるのか。シモンがその素顔に迫る。
監修:田村修一
2年連続のPK戦で欧州女子サッカーを制覇したリヨン。
リヨンの4度目のヨーロッパ制覇に決定的な役割を果たしたゴールキーパーは、強靭な意志のもと、この試合で持てる力のすべてを出し尽くしていた。
決勝戦の直前、「GKのサラが……彼女がリヨンの実力を敵に見せつけてくれるだろう」と、ゴールキーパーコーチのヨアン・ビビエは軽口をたたいていた。
彼自身は真剣に語っていたつもりだったのだろうが、決勝戦の直前だったということもあり、受け取る側のメディアはそこまで重要には感じなかったようだ。
だが彼の言葉は、少なくともリヨンのジャン・ミシェル・オラス会長の注意を喚起してはいた。
「ああ、その通りになったな。彼女がいるのに優勝できないなんていう理由はまったくなかったからな」
ビビエコーチの言葉に呼応するかのように、優勝後のオラス会長は、笑顔でそうコメントした。
4度目のヨーロッパ制覇、しかも今年もまたPK戦によって2連覇を達成した後では、言葉の響きにも余裕が感じられるというものだ。