フランス・フットボール通信BACK NUMBER
女子のCL決勝は2年連続PK戦決着。
仏代表・守護神ブアディの意地。
text by
トマ・シモンThomas Simon
photograph byStephane Mantey
posted2017/06/20 08:00
CL優勝の表彰式で、高々とトロフィーを掲げたブアディ。代表でも2003年の初出場から100試合以上の出場を果たしている。
批判に晒された時も「それもまた人生の一部」と。
その後、代表復帰を果たしたものの、ロンドン五輪では準決勝の日本戦で致命的なミスを犯し、批判の矢面に立たされた。その年はリーグ戦のPSG戦(0-1)やCLの重要な試合でも、彼女の失策によりリヨンは試合を失っていたのだった。
「当時の彼女はちょっと微妙だった。幾つかの大事な試合で期待に応えられなかった」と監督のジェラール・プレシュールはいう。
ブアディ自身もそれは認めている。
「簡単ではなかったわ。いくつかのミスがとても高くついたから、フランス代表でもクラブでもずいぶんと批判された。
苦しい時期もあったけれども、何とか消化することができて、今ではそれもまた自分の人生の一部だと思っている。
こういうことがある度に、夫とはよく話し合ってきた。彼の助けもあってどんな圧力も跳ね返せる鎧を心に纏うことができたわ」
偉大なチームには偉大なGKが必要。
さらに彼女はこう続けた。
「私は甦ることができた。(リヨンが)偉大なチームになるためには、偉大なゴールキーパーが必要なの。(今回の連覇によって)自分が最高のメンバーの一員であることは証明できたと思う。
これで世の中の私に対する批判も静まるといいけど(笑)」
その言葉の調子には、かつての傲慢さも反発心も感じられない。彼女を批判してきたメディアへのリベンジという風でもない。
ただ、事実のみを淡々と語る姿には、苦難の時期を乗り越えた成熟と落ち着きが漂っている。