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ソテルドは“変態”的に強かった!
U-20W杯で原輝綺が見た世界レベル。
posted2017/06/11 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Penta Press/AFLO
「もう衝撃しかないです。本当に世界にはこんな選手がいるのかと……」
U-20日本代表のMF原輝綺は、ベネズエラの158cmの小兵MFに、これまで感じたことが無い大きな衝撃を受けた――。
韓国で開催されているU-20W杯。日本は決勝トーナメント初戦でU-20ベネズエラ代表相手に、延長戦の末に0-1で敗れた。この一戦で原は生涯忘れることの無い経験を味わうこととなった。
ベネズエラのエースナンバー10を背負うMFジェフェルソン・ソテルド。
19歳の彼は、すでにA代表に選出され、ロシアワールドカップ南米予選にも出場経験がある。
身長158cmと小柄だが、圧倒的なスキルと戦術眼、そして高いアジリティーとパスセンスを持つ。その小さな身体に様々な機能が搭載されており、原はそのハイスペックぶりに試合を通して何度も驚愕させられたという。
「ソテルドは本当に凄かった。そのたたずまいからして、『俺に抜けない奴はいないよ』という自信に満ちあふれていた。どんな状況でも的確なファーストタッチを駆使して、一発で前を向いてくるし。
ボールを相手選手の前にさらしてくるけど……一見、さらしているように見えて、実は自分のプレーエリア内にしっかり置いてる。だから、こっちが食いついて行っても簡単に逆をつける……。身長の低さなんてどうでもよくなるくらい、絶対的な存在感だった。言葉は悪いかもしれないけれど、もう『変態』でした」
自分勝手に見えて、的確だったその位置取り。
密集地帯でも、しなやかな身のこなしで次々と状況を打破していく。しかも、それを淡々とこなす。
「めちゃくちゃ狭いところでも平気で前を向いたままどんどん近づいてきて、ドリブルで来るのかパスでくるのかをずっと隠したまま、最後の最後で的確な選択をする。守備として的を絞れないし、『右サイドにいるな』と思っていたら、次の瞬間に左サイドにいる。一見自分勝手にやっているように見えるけど、常に相手の嫌なところ、嫌なところに必ず動いている。ベネズエラの攻撃はほとんど彼が起点になっていた」