“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ソテルドは“変態”的に強かった!
U-20W杯で原輝綺が見た世界レベル。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byPenta Press/AFLO
posted2017/06/11 07:00
左からソテルド、市丸、原。U-20W杯決勝まで上り詰めた「ソテルド」の名は、そう遠くない未来に世界で轟くことになるはず。
ソテルドは、上手いだけでなく「強い」。
ソテルドの動きに対し、180cmオーバーの長身選手達が導かれるように連動してゆき、様々な攻撃パターンを構築していく。
ボランチでプレーした原は、要注意人物である彼のマークに神経をすり減らすが、事あるごとにソテルドは原の想像の上をいっていたという。
「彼は上手いだけでなく、『強い』んです。衝撃だったのは、彼のボールを奪いに身体を当てながら詰めていった時、彼の腕一本でブロックされたこと。彼の腕が僕の腰の辺りにきて、全力でグッと力を入れて対抗したのにビクともせず、彼の懐に一切飛び込めなかった。腕一本で抑えられたのは初めての経験でした」
身長178cmでフィジカル面では自信のあった原が、158cmの選手の腕一本の前に屈したのだ。原が、“小さな巨人”ソテルドの巨大な存在を目の当たりにした瞬間でもあった。
さらに衝撃は続いていく。
彼にとって次なる衝撃は、65分に訪れた。
狙い通り、ソテルドへのパスを促したが……。
ベネズエラの左FWアダルベルト・ペニャランダがドリブルでカットインしてきた時、原はペニャランダを右に見ながら、目の前にいたソテルドのマークに付いていた。
「ペニャランダの前には丸くん(市丸瑞希)がいたので、僕はソテルドへのパスコースを消そうと、中に絞ったんです。そうしたらソテルドはちょっと下がってスペースを作った。なので、今度は丸くんと連係して、そのソテルドにパスを出させれば、インターセプトできると思ったんです」
狙い通り、ペニャランダはドリブルからソテルドへクサビのパスを打ち込んできた。
ソテルドはゴールに対して半身になりながら素早くパスに寄って行ったため、原はボールを奪うポイントをパスカットから足下での奪取にすぐさま変更した。
「彼はこれまでのプレーを見ても、縦パスやクサビのパスのトラップを常に自分の前に置いていたので、その瞬間に奪おうと思っていました」