プロ野球亭日乗BACK NUMBER
歴史的連敗の元は“清武の乱”にアリ。
采配批判の前に巨人全体の奮起を望む。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/06/08 13:45
交流戦に入っても連敗を続けることになった巨人。高橋監督は冷静に振る舞うが……。
采配は、それなりに根拠もある最善手だったが……。
6月2日のオリックス戦では8回2死から、4番手の桜井俊貴投手が四球で走者を出すとマシソンを回またぎで投入。その結果、9回にマシソンが捕まり同点に追いつかれたことに批判が集中した。
また、7連敗目となった6月1日の楽天戦では好投していたルーキーの池田駿投手を5回98球で降ろして、継投に入った途端の6回に試合をひっくり返されたことに疑問を呈する声も多く聞かれる。
ただ、どの采配もその場面、その場面でベンチが最善と判断し、それなりに根拠もある。
マシソンにはセットアッパー時代から回またぎの経験があり、池田は当初から100球をメドにした先発起用だった。逆にマシソンを投入せず、池田を続投させて点を奪われていれば、ベンチの決断力のなさが批判される結果になるだけなのだ。
要はこうした采配批判は、あくまで結果論でしかないのである。
ただ、こうした表面的な選手起用やベンチワークというより、むしろもっとチームの根深いところに連敗の要因が潜んでいることが厄介なところなのだ。
阿部、坂本の不調をカバーする選手が皆無!?
実は今回の連敗の遠因には開幕から打線を引っ張ってきた阿部慎之助、坂本勇人両内野手のコンディション不良による不振と、それをカバーする選手が中軸にも若手にも全くいないというチームの現状がある。
今季の巨人は開幕から5連勝して4月は12勝12敗とまずまずの成績で、5月も連敗が始まる直前の24日までは10勝8敗と勝ち越していた。好調の要因は菅野智之、田口麗斗、マイルズ・マイコラスの先発3投手が安定した力を発揮し、打線では開幕から阿部と坂本が好調で新外国人のケーシー・マギー内野手も機能していた点にある。
しかし4月下旬から5月に入ると阿部が下半身の張りから調子を落とし、今の打率は2割5分台で本塁打も5月16日の8号以降は1本も出ていない。坂本も5月中旬に胃腸炎で下痢が続いて体重が3キロも落ちるなどコンディション不良から、一時は3割8分台あった打率が3割1分台まで急降下した。
ところがこの2人の不振をカバーすべき若手、中軸の選手がいない。中でも坂本とともに次の巨人を支える中心にいるはずの長野久義外野手が、開幕から絶不調が続いて打率は2割2分台に低迷したままなのが大きい。