プロ野球亭日乗BACK NUMBER
歴史的連敗の元は“清武の乱”にアリ。
采配批判の前に巨人全体の奮起を望む。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/06/08 13:45
交流戦に入っても連敗を続けることになった巨人。高橋監督は冷静に振る舞うが……。
あえて言うと……早くに阿部と村田を併用していれば。
交流戦に入ってレギュラーシーズンでは控えに回っていた村田修一内野手が3本塁打を放つなど気を吐いたが、その村田も6日の西武戦で左ふくらはぎを痛めて7日の試合は欠場を余儀なくされている。
ベンチワークとして1つだけ言うなら、もっと早い段階で阿部と村田を併用していく起用があっても良かった。
もともと阿部のコンディションに関してはフルシーズンの出場が難しいことは想定済み。そのために昨オフにマギーを獲得し、村田と3人で一塁と三塁のポジションを回していくのが基本構想だったはずだ。ならば交流戦を待たずに状態を見ながら村田を併用することで、結果的には阿部の負担を減らす選手起用があったはずである。
ただ、そうしたベンチワーク以前に、巨人が根本的に抱える問題は選手がいないことに尽きる。
チーム事情を理解していない外野からは「戦力はある」「補強で若手が育たない」という声も聞く。ただ冷静に一、二軍を見回すと、現状で一軍で使える選手が若手にもほとんどいないのである。
今季は「リードオフマン不在」が大きな課題だった。
ファンにとっては希望の星の岡本和真内野手にしても、これまで何度となくチャンスをもらったが、結局は実力不足でレギュラーを掴むことはできなかった。今季はまだ競争の舞台にも上がれる状態ではないのが実情だ。
岡本以外にも例えば今季のチームはリードオフマン不在が大きな課題だった。
そこで高橋監督は開幕から若手の中井大介内野手を辛抱強く使い続けたが、結局、打率2割1分3厘で得点圏打率に至ってはわずか1割1分5厘と絶望的な数字しか残せずに二軍落ちしていった。
中井だけではない。
連敗期間中に1番には長野が5試合、坂本が3試合、脇谷亮太が2試合、陽岱鋼が2試合起用され、2番には立岡宗一郎が5試合、橋本到が4試合、石川慎吾が2試合、重信慎之介が1試合と中堅、若手が起用された。しかし、この1、2番で97打数16安打の4四球で打率1割6分4厘、出塁率もわずか2割1分4厘でしかない。