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川崎・篠山竜青に涙を流させたもの。
Bリーグの成功を象徴する男の1年間。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2017/06/08 07:30
篠山竜青は、昨年まで決して得点の多いタイプのPGではなかった。1年で見違えた彼の成長は、数あるBリーグ効果の1つであろう。
代表メンバーから落選、理由は得点への意識。
そしてもうひとつ、篠山の背中を押す出来事があった。
日本代表からの落選だ。
昨年12月から、日本代表はシーズン中に定期的に強化合宿をするようになった。月に1回程度、2~3日にわたって代表でトレーニングを行う。代表チームの強化はもちろんだが、来シーズンからシーズン中にW杯予選があることをにらんでのものだ。12月から篠山も候補選手として選ばれていたのだが、2月のイラン戦のメンバーからは漏れてしまった。
「イラン戦のメンバーに選ばれなかったときに『得点やゴールへのアタックする意識を伸ばしていかないとダメだ』と言われて。危機感があったし、その言葉で意識が変わった部分はあります」
代表合宿に呼ばれて世界を意識し、代表戦のメンバーから漏れ、上を目指す意識はさらに強くなった。
「ファイナルはグレート・ゲームだった」
Bリーグファイナルを終えて代表合宿に合流すると、6月まで暫定的に指揮を執るルカ・パビチェビッチ氏からこう言われた。
「ファイナルはグレート・ゲームだった。そして、CSに入ってからのオマエは、見違えるような『成長』を見せつけてくれたな」
もっとも、5月29日の代表の練習で左肘を傷めてしまい、6月3日から始まった東アジア選手権への出場は不可能になってしまった。
それでも、篠山の辿ったプロセスは大きな意味を持っている。Bリーグが発足したのは、バスケットボールの普及だけではなく、日本バスケットボールの強化も大きな目標となっているからだ。
篠山は言う。
「チームが強いのにそのチームのPGが選ばれないということは、それほど影響力が少ないということなので、川崎でプレーする自分が選ばれないのは恥ずかしいことだという意識でやっています」