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“華麗なベルギーサッカー”は絶滅!?
リーグ優勝クラブに見る最新事情。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byAlex Martin/L'Equipe
posted2017/06/01 17:00
パサーとしての類まれな才能だけでなく、得点能力も高いユーリ・ティーレマンス。今季のチーム優勝を支えた若き逸材だが……。
ベルギーらしくないカウンター戦術で優勝したが……。
それでは伝統の素晴らしいプレーはどこに行ってしまったのか?
それはゴミ箱の中に捨てられてしまったのだった。
バイラーの4-2-3-1(或は4-1-4-1)システムは強固な守備を築きあげた。プレーオフ6試合で失点はわずかに6。だがそれは、同時にボールポゼッションの放棄とカウンターアタックへの依存をも意味していた。3週間前におこなわれたワレヘム戦では、ボール保持率は40%に過ぎなかった。
ヨーロッパリーグ準々決勝で、マンチェスター・ユナイテッドを悩ませるには申し分のないやり方ではある。
だが、ベルギーリーグを戦うのに相応しい戦い方とは言い難かった。
チーム再構築のシーズンにアンデルレヒトが得たものは結果だけであった。新たな戦術の創造は、今後を待たねばならない。
今季のアンデルレヒトを支えた、2人の若きボランチ。
これまでアンデルレヒトは、常に育成の恩恵に浴してきた。
今季、チームの中核となったのは、ユーリ・ティーレマンス(20歳。16歳だった'13年7月からトップチームでプレー。攻撃力と想像性に優れ、今季はリーグで13得点。アシスト12はリーグ第2位。アンドレア・ピルロの再来と言われる)と、リエンダー・デンドンカー(22歳。ロボコップの愛称を持つ屈強な守備的ミッドフィールダー。マンチェスター・ユナイテッドとの準々決勝第2戦では15kmを走りきり、試合後にアンデルレヒトのロッカールームを訪れたジョゼ・モウリーニョに絶賛される)の2人の若いボランチで、彼らはともにアンデルレヒトの育成機関である「ネールペデ」の出身であった。