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キタサンブラックが継承する
無敗ダービー馬ミホノブルボンの伝説。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byKeiji Ishikawa
posted2017/05/18 12:50
ディープインパクトのレコードを破ってのキタサンブラック連覇となった天皇賞・春。武は自らが作ったレコードをさらに更新する形に。
ミホノブルボンの死の1カ月後、志を継ぐ馬が……。
かつて戸山は小誌の取材に「馬は鍛えるもの。鍛えて鍛えて、鍛えぬいて、それに耐えられないようなら、所詮この世界では通用しないもの」と、理想家肌の一面を見せたが、清水は「戸山さんのやり方を否定するわけではないですが、僕は鍛えて強くして、無事にレースに出す、というところはある」とややスタンスの違いを強調するが、「鍛えて強くする」部分は共通する。
無敗の3冠をかけた秋の菊花賞で、ライスシャワーに敗れたのを最後にミホノブルボンはターフに戻ることなく、引退した(生涯成績8戦7勝)。戸山もまた、ブルボンを管理していた時から患っていた食道がんのため、1993年5月29日、第60回日本ダービーの前日に息を引き取った。種牡馬となったミホノブルボンは、地方競馬では重賞勝ち馬を出したが、JRAの重賞勝ち馬は出せないまま2012年に種牡馬を引退、今年2月に28歳で老衰のため死亡した。
自らの血をひく後継者を残すことはできなかったが、ブルボンの死の約1カ月後、坂路3本の新メニューにも耐え、大阪杯を制したキタサンブラックは、4月末の天皇賞(春)でも、昨年の有馬記念で敗れたサトノダイヤモンドを下し優勝。ミホノブルボンの「志」を継ぐハードトレーニングの雄がターフを駆け抜けている――。
Number927号「ダービージョッキー最強伝説」では、今年のダービーはもちろん、近年最大の「ビッグレース」、キタサンブラック対サトノダイヤモンドの天皇賞・春について、関係者総当たりで完全誌上再現しています。ハードトレーニングのキタサンがサトノに勝てた真の理由とは? あのレースで何が起きていたのか――是非本誌でご確認ください。