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田臥勇太だけではない魅惑の空間。
BリーグCS、栃木vs.千葉は必見だ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/05/12 11:00
田臥(右)と千葉・富樫勇樹のマッチアップはもちろん、満員に膨れ上がるだろう会場の雰囲気も日本バスケ史に残る試合になること必至だ。
「シンプルなことを40分間やれるかの勝負」(田臥)
キャプテンの田臥勇太も、自分たちの強みに胸を張った。
「自分たちの良さは全員が動いて、走って、リバウンドを取って、ディフェンスを頑張って、というものです。本当にシンプルなんですけど、そのシンプルなことをいかに40分間やれるかの勝負だと思っています」
そのスタイルはブレックスの一員となった選手にも、すぐ波及する。昨年10月、第2節のジェッツ戦後、今季新加入の竹内公輔も以下のように話していた。
「味方の外れたシュートは全部、自分がリバウンドを取りたいと思っていますから」
面白いのは昨年12月から今年2月まで行なわれていた他地区との交流戦でのこと。ブレックスがアウェーチームとして訪れた会場の多くで、相手チームの最多観客動員数を更新していったのだ。
田臥が見たいという敵地ファンが多かったのは、一つの要因だろう。しかしそれ以上に見逃せないことがあった。アウェーのファンが集まる一角では「GO BREX!」とプリントされたボードをファンが配っており、アウェーの会場でもブレックスのチームカラーである黄色が躍る一角がある。
ファンの活動も先陣を切って発信できるような存在に。
それに加えてブレックスのファンは、バスケットボールを知っているのだ。
どのタイミングで息を飲み、何に喜ぶのか。どんなプレーを称えればいいのか。どうやってチームの背中を押せばいいのか。それを体現する応援を見せる。
Bリーグ開幕で新たに観戦するようになった敵チームのファンに、アウェーの地でも啓蒙した存在になったといっても過言ではない。
交流戦の行なわれていた今年1月のこと。冒頭で紹介したポイントガードの渡邉が示唆に富む発言をしている。渡邉はほとんどの試合でベンチスタートながらブレックスに欠かせない存在である。平均プレータイムが、田臥が20分27秒、渡邉が19分35秒からもそれはわかるだろう。
「今はまだ、企業が前身のチームとはどうしても差があるかもしれないですけど、Bリーグとしてしっかり統一したリーグにしたんだったら、僕たちブレックスというチームが、バスケットボールのプレーだけではなくて、ファンの活動も先陣を切って発信できるような存在になれれば幸せなのかなと思います」