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田臥勇太だけではない魅惑の空間。
BリーグCS、栃木vs.千葉は必見だ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/05/12 11:00
田臥(右)と千葉・富樫勇樹のマッチアップはもちろん、満員に膨れ上がるだろう会場の雰囲気も日本バスケ史に残る試合になること必至だ。
応援してくれるファンに恩返しするためのプレーを。
そして、自分たちのプライドについて聞くと、こう話した。
「プライドを持ってやるのがバスケ選手なので、当然(自分たちの中にも)あると思います。でもどこに行っても、応援しに来てくれるファンがいるというのは、リーグを見ても数少ないと思います。ましてや、ホームではいつも満員になる。自分たちはプレーで恩返しすることしか出来ない。だから、毎試合、毎練習、そういった人たちのことを考えて、しっかりと恩返しするためにプレーしていかないといけないという気持ちです」
渡邉が感謝を口にしたファンの例を挙げれば、きりがない。ブレックスアリーナでは、ゴール裏2階席にはサポーターを名乗る人たちがいて、応援のリードを取っている。世界の人気スポーツを見渡せば、試合前に応援歌を歌うチームは多く、ブレックスも「栃木県民の歌」を歌うのだが、この歌が始まる前に「県民の歌を皆で歌おう」と書かれたフラッグを掲げて、彼らは場内を練り歩いている。初めて来た人たちを取り込んで、特別な空間を作ろうとする努力をしている。
チアリーダーが消毒液を持っているのはなぜ?
あるいは選手入場前、チアリーダーの「ブレクシー」たちの振る舞いもそうだ。彼女たちはアルコールの消毒液を持って、コートサイドの一角を回っているのだ。これはなぜかというと、選手がコートに入場する前に、ファンはハイタッチをできる権利を持っている。しかし冬場になると多くのチームがインフルエンザ予防のために、ハイタッチを自粛していた。しかし、ブレックスにかかわる人たちは、そんな時期でも、選手の体調管理について入念な準備しつつ、ファンとの触れ合いを忘れない。チアリーダーたちが消毒液を手にしつつファンに頭を下げ、ファンは快く手を差し出す。
すべては、チームが勝つために。
選手だけではなく、クラブを取り巻くすべての人たちがその一点に思いを注ぎ、そこにプライドを持っているのだ。