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千両役者・闘莉王がJ2得点王に!?
今も変わらぬサッカー談義と後輩愛。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/05/03 07:00
ゴールを奪って破顔一笑する闘莉王。こんなにも喜怒哀楽が豊かな男が、愛されないはずがない。
ゴールを取っても「あくまでセンターバックだよ」。
FWとしての活躍がインパクトを残しているが、闘莉王の口癖は「俺はあくまでもDF。センターバックだよ」。だからこそ話題もDF目線になることが多い。
サッカー談義は、G大阪が今季採用する3バックにも及んだ。遠藤保仁を中盤のアンカーに置き、その後方を3人のDFが固めるシステム。闘莉王は嬉々として話していった。
「あれは普通、ヤット(遠藤)が1人でボランチにいるのでその両脇のスペースがどうしても気になる布陣。相手もそこを使おうとする。でもガンバがうまいのは、そこをMFが引いて埋めるのではなくて、DFが前に出ることで塞ごうとしている。ファビオや三浦(弦太)とか、前に強くて高さがあるDFがいるからこそ、成立する戦い方だよ。
DFがあそこまで前に出ることを怖がる人もいるけど彼らはスピードもある。前に出て、空いた後ろのスペースを突かれたとしても、せいぜい10~20mのダッシュで済むもの。そこを怖がるよりも、前を消すというやり方が大事になっている」
闘莉王に鍛え上げられた、牟田雄祐という男。
どんどん飛び出てくる分析を聞いていたのは、実は筆者だけではない。隣に、真剣な顔でそれを聞く選手がもう1人いた。
牟田雄祐。
2013年に福岡大から名古屋に加入し、闘莉王に日々アドバイスを受けてきたセンターバックである。時には闘莉王からの厳しい言動も、自らの力になると信じてキャリアを積み重ねてきた。そして牟田は2016年に京都に移籍。闘莉王が1年遅れでやってきたことで、今季からまた師弟関係が復活した。
牟田は自らを「結構、思い悩むタイプです」と話す。そんな後輩に対して、闘莉王が口を開く。
「この前の試合の、消極的なミスは絶対にあり得ない。前を向いて、積極的に出てボールを奪われるのであれば仕方ない。ただ前にも行けるのに横パスやバックパスをして奪われるのはダメ。お前はもっと自信を持ってプレーすればいいんだよ」