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千両役者・闘莉王がJ2得点王に!?
今も変わらぬサッカー談義と後輩愛。
posted2017/05/03 07:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
ファン・バステンのようなシュート技術を見せたかと思えば、イブラヒモビッチのように敵の背中越しから豪快なヘディングを叩き込む。
現在、J2リーグ6試合出場で6得点。田中マルクス闘莉王の勢いが止まらない。
DF登録ながら、これまでも攻撃センスを発揮し得点を重ねてきたことは周知の事実だろう。Jリーグ公式戦で挙げた得点数は遂に100点を超えた(104点)。もちろんDFでは史上初の記録である。
得点数もさることながら、相変わらず劇的な局面でのゴールが多いことが、彼の印象をより濃くする。
名古屋から京都に移籍し、迎えた今季の開幕戦。闘莉王は相手にPKを与えてしまい、失点に絡んでしまった。しかし、第2節では0-0で試合が終わると見られた終了間際、値千金の決勝弾を右足で決めてみせた。前節のミスを自ら相殺するような得点。この時、彼は試合中に足を痛めながらもプレーを続け、最後の最後に渾身の力を振り絞った。ただ、その後はケガの影響もあって、約1カ月の戦線離脱を余儀なくされた。
センターFWの起用で、ハットトリックの離れ業。
復帰戦となった第8節、闘莉王はセンターFWの位置で起用された。この時点で京都は勝利から見放される苦しい状況が続いていた。ピッチに戻ってきた闘莉王は、救世主のような役割が求められていた。
そしてこの男は期待通り、いや期待を上回る結果を残すのである。
後半1点ビハインドの状況で、京都は畳み掛けるように攻めた。52分、まずはCKから闘莉王がマークするDFをものともしない豪快なヘッドをゴールに突き刺し同点に。
さらに72分、浮き球のクロスボールの落下点に入った闘莉王はマーカー3人に囲まれながら正確なテクニックで翻弄する。胸トラップでボールを収めると、バウンドした球を空中で滑らかに扱い相手の逆を取る。右足インサイドでボールに触れるフェイントを入れ、すぐ次の瞬間にアウトサイドで触れてシュートを打てる場所に置いて右足を振り、逆サイドネットに決まった。
その後、京都は2-2の同点とされたが、アディショナルタイムに左からのグラウンダーのクロスを左足でゴールに押し込んだのは、闘莉王だった。