オリンピックへの道BACK NUMBER
小塚崇彦も本田真凜も心を打たれた。
村上佳菜子、泣いて笑った引退決断。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2017/05/06 08:00
引退決断を発表したリンクで花束を受け取った村上。彼女らしい、屈託のない笑顔だった。
プロフィギュアスケーターとして、新たな一歩を。
人は上り調子であるときよりも、つまずいたあとに真価が分かると言われる。ジュニアで活躍し、シニアで脚光を浴びた村上にとって、近年は過酷なシーズンが続いた。成績は伸び悩んだ。それでも折れることなく、足を止めなかった日々に、村上の芯がある。
その末につかみとることができた「望んでいた演技」であり、人の心を打つ演技であった。
4月29日。この日初日の幕が開いた「プリンスアイスワールド」で、新横浜スケートセンターのリンクに立った。
拍手とともに迎えられた村上が演じたのはアデルの『ホームタウン・グローリー』。
晴れやかな笑顔とともに、プロフィギュアスケーターとして、新たな一歩を踏み出した。