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ラグビーW杯、過密日程、主将論。
堀江翔太と立川理道が語り尽くす。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTomoki Momozono
posted2017/05/05 08:00
ひょうきんな表情を浮かべる堀江(左)と立川。しかし日本ラグビーへの話に及ぶと、言葉の一つ一つから真摯な姿勢が伝わった。
2人のリーダーが見たジャパンの進化と問題点。
――スタッフが替わっても「ジャパン」としてのカルチャーは受け継がれてますか。
立川 選手の中で根づいてきた感じはあります。考え方や意識の高さをそのまま引き継いで、高い基準を保てている気がします。
堀江 プライドを持って、死に物狂いでやる感じが残ってるね。エディーさんの時は『ハードワーク』って言葉で表現されてたけど、ジョージア戦で攻め込まれたとき、みんな必死なのが感じられたから。
立川 ウェールズ戦、30対30の同点になったときも、舞い上がらずに自分の仕事にフォーカスしようと話したんですが、みんな落ちついていて、不安そうな顔をしてる選手はいなかった。
堀江 チームとして自信が出てきたんだと思う。それは日本代表のステイタスが上がって、周りからの見られ方も変わったから。初めてジャパンに選ばれたときは、パナソニックのチームメイトで「まあ、行ってらっしゃい」とか軽い感じの人もいたけど、今は気持ちよく送り出してくれる。
立川 トップリーグのどこのチームもそうなったんじゃないですか。
堀江 それに今回のチーム、メンバーが入れ替わったにしても、チームとしてひとつになるのが、めっちゃ速かったんちゃう? 昔から集まってたような感じがしたけどな。
立川 ワンチーム。いい言葉ですよね。
W杯を経験した人間がいないとアカンと思った。
――一方でW杯の中心メンバーが辞退するなど、ファンとしてはさびしい気もします。休みたい、と思ったことはありませんか。
堀江 たしかにしんどいですし、試合数が多かったので、ちょっとありましたかね。
立川 トップリーグで見てたら、堀江さん疲れてるな、と思ったこと、ありましたよ。
堀江 ホンマ? あかんね(苦笑)。でも、最後に自分を突き動かしたのは、W杯を経験した人間がいないとアカンと思ったことです。なんたって日本代表ですから。日本ラグビー界のトップチームで、こういうオジサンが選ばれてうれしい、と言えるようなチームじゃないとダメでしょ。
立川 僕は今、モチベーションしかない。'15年のW杯を経験したからこそ、'19年につなげていきたいし、燃えつきたとか、そんな感覚はないんですよ。
堀江 ハルは、バンバン試合出て、グングン伸びてるもんな。