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「どんどん選手生命を長くしたい」
葛西紀明、44歳が目指す五輪の先。
text by
折山淑美Toshimi Oriyama
photograph byGetty Images
posted2017/05/04 09:00
'90年代から'10年代にかけて世界を転戦し続ける葛西は今もなお充実のジャンプ人生を送る。
平昌五輪に関しては、まだ何も考えていない。
'16年1月30日のW杯札幌大会。2本目で2位の記録を出しながら、表彰台に届かない4位に終わった時も冷静だった。
「1本目がきつい追い風に当たって8位だったのが響きましたね。ソチの時のようにアプローチでいいポジションに乗れていればもっと助走スピードも出てあの追い風でも飛距離を伸ばせるけど、それがなかなか見つからない。でもそこは焦らずに、あまり大きく変えるのではなく少しずつ変えて、スピードの出るタイミングを探しながらやっていこうと思っています」
それはかつてのような、風の当たり外れに一喜一憂していた頃とは明らかに違う発想だった。さらに、今季についてもこう語る。
「平昌五輪に関しては、まだ何も考えていないですね。決まるかどうかわからないという不安もあるから、考えるのはギリギリになってからだと思います。だから今シーズンは特別何をするわけでもなく、普通に生活して、普通に試合に出て飛んでみようと思っているだけで。それでどうなるかなとワクワクしています」
僕の中ではW杯総合優勝が一番価値がある。
今季は2月にフィンランドのラハティで世界選手権も開催されるが、あくまでも重きを置くのはW杯だと葛西は言う。
「とりあえずは年末から始まるジャンプ週間までに、調子を徐々にあげていければと思います。あとは2月と3月に3大会あるフライングヒルですかね。特に最終戦のプラニッツァ大会は……。もちろん世界選手権も大事だと思いますが、これまでいっぱい出ているけどなぜか興味は薄いんです。これまで世界選手権は銀メダルと銅メダルだけだから金メダルも欲しいところだけど、僕の中ではW杯総合優勝が一番価値があると思っているので、やっぱりW杯がメインになるんでしょうね。その中で世界選手権は、ポロッと金メダルを獲れたらいいな、というくらいです」