球体とリズムBACK NUMBER
強豪の激突、似た者同士の伏兵対決。
CLベスト8の4カードを大いに分析。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byAFLO
posted2017/04/10 07:00
輝きを放つビッグイアーをカーディフの地で掲げるのはどのクラブか。欧州最高峰の戦いがクライマックスを迎えようとしている。
ユーベのダニエウ・アウベスは古巣と初対決。
対するユベントスのマッシミリアーノ・アッレグリ監督は、現所属先と2018年6月までの契約を残しているが、今季終了後の移籍の噂が絶えない。その意味では、敵将と同じく3年目でリーグ3連覇を目指す49歳のイタリア人も、残りのシーズンをユーベでの集大成と捉えているかもしれない。
今季、セリエAで序盤から首位をキープし、国外では一度も負けていないチームは海千山千の手練れたちが隙のない機能性を見せる。
現時点では主に4バックだが、3枚にもスムーズに移行でき、全体の成熟度という点では一日の長がある。古巣との初対戦に臨むダニエウ・アウベスが相手の手薄なサイドに風穴を開ければ、2年前のファイナルとは違う結果になる可能性は増す。
モナコ対ドルトムントは若手、青年指揮官の激突。
<ドルトムント対モナコ>
現在、欧州で活きのいい若手を最も多く揃えるチーム同士の激突だ。
指揮官もともに若い。モナコを率いる42歳のレオナルド・ジャルディム監督は、ジョゼ・モウリーニョ、アンドレ・ビラス=ボアスに続き、プロ選手のキャリアを持たないポルトガル人監督として欧州カップ戦のタイトルを狙う。
一昨季のラウンド16でアーセナルを下したチームはそれ以降、アントニー・マルシャル、ヤニク・フェレイラ・カラスコ、ジョフリー・コンドグビア、ライバン・クルザワら、主力を他クラブに引き抜かれながらも、戦力を維持するどころかメキメキと高めている。
財政面ではまったく歯が立たないPSGを抑えてリーグ1の首位に立ち、CLラウンド16でも中東マネーで巨大化したマンチェスター・シティに競り勝った。
目下、リーグ1で30試合87ゴール、CL(本戦のみ)で8試合15ゴールと高い得点力を誇るチームは、どこからでもゴールの道筋が描ける強みを持つ。ほとんどの選手は国際的な名声を得ていないが、期待値は高い。ことに18歳のFWキリアン・ムバプと21歳のサイドMFトマス・ルマーの行く末が楽しみだ。