リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
誤審がなければリーガ首位は違う?
勝点で得するレアルと損したバルサ。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2017/03/19 11:30
今季、微妙な判定で勝ち点を逃し続けているバルセロナ。温厚なイニエスタも激しくアピールするほどだ。
普通ならハンドにならないはずのプレーが、PKに。
2-1でビジャレアルがリードしていた70分過ぎのこと。攻め入ったクロースがペナルティエリアの正面やや左からシュートを放つと、ボールはエリア内にいたビジャレアルのCBマテオ・ムサッキオの足先に当たって跳ね、彼の目前にいたMFブルーノの上腕辺りを直撃した。
本来なら、このケースはハンドにはならないはずである。スペインのレフェリー委員会が'15年8月6日に発行した通達によると、「ペナルティエリア内で味方の身体あるいは足からの跳ね返りが偶然手に当たった場合」、故意の反則とはみなされない。
なのに主審は笛を吹き、マドリーにPKを与えたのだ。
マドリーファンであっても、ルールを熟知している者なら眉をひそめたであろう判定は当然物議を醸したが、結局当該プレイを検証したレフェリー委員会に裏書される決着となった。
「ビクトル・ルイスの足先からブルーノに向かって跳ねたボールのスピードはそれほどではなかったので、ブルーノは避けられたはず」と委員会は言うが、彼はSFXを駆使した映画中のヒーローではなく、一介のサッカー選手。あの距離で、あの速さで不意に飛んできたボールを避けたとしたら、それこそ奇妙である。
バルセロナの地元紙が勝ち点を“再計算”したら……。
ことほど左様にマドリーばかりが利を得ているため、2月末、スポルト紙は得点直前のオフサイドやゴール判定などスコアに直接影響を及ぼした誤審をピックアップし、それらがなかった場合のマドリーとバルサの獲得ポイントを計算した。
すると、マドリーは9ポイント減でバルサは6ポイント増となった。前者は現時点で1試合少ない状態で、2位バルサとの差はすでに4ポイント差とはいえ、この計算を照らし合わせれば、首位は入れ替わりとなる。全チームを対象にして計算し直したら、順位の変動はもちろん他にもあるだろう。