フランス・フットボール通信BACK NUMBER
マンチェスターの象徴は実はシティ!?
グローバル化で荒む、サッカーの聖地。
text by
クリストフ・ラルシェChristophe Larcher
photograph byFRANCK FAUGERE
posted2017/02/28 11:00
あるマンチェスター市民の姿。世界中から金持ちのファンが殺到するスタジアムを見て、生粋のマンチェスター市民は今なにを思う……。
世界中から大量のサポーターがやってくる時代に。
――今日ではユナイテッドもシティも、海外のホールディングカンパニーの支配下に入っています。そのことがサポーターにどんな影響を与えているでしょうか?
「“ゼロ年代”にレッドデビルスはイングランドとヨーロッパで大きな成功を収めたが、シティはマンチェスターのローカルクラブに留まっていた。
しかしどちらも海外資本に買収され('05年と'08年)、サポーターの質も変化した。今やサポーターは、イギリス全土は言うに及ばず世界中からやって来る。
マンチェスターと周辺地域の住民たちがもはや気楽に試合を見にいける雰囲気ではない。巨大化したオールド・トラッフォードやエティハドの敷居は、彼らには高すぎる。
今はまだ観客動員は伸び続け、ほぼすべての試合でスタジアムは満員になっている。
遥か彼方の国から来る新しいファンが、ユナイテッドとシティをグローバルなクラブにしたのだ。それは、決して悪いことじゃない。若者を惹きつける魅力がそこにはあるのだろう。
ただ、どちらのクラブも利益の追求だけに走っているように見える。そして、それに抗うのは非常に難しいことだろう」
オーナーは地元ファンを軽視している!?
――FCユナイテッド('05年にマンチェスター・ユナイテッドから独立して設立されたクラブ。6部リーグに所属)の試みをどう分析していますか?
「幅広い支持を受けた“ひとつの抗議活動”なのだろう。
というのも伝統的なユナイテッドのファンは、'05年以来クラブを経営しているグレイザー家(米国の富豪)が、その経済政策で彼らを搾取し、排除しようとしているように感じているからだ」