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中田英寿が送った“2つの助言”。
武藤嘉紀の思考に変化は起きたか。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2017/02/10 17:00
アタッカーと司令塔。タイプは違えど、体の強さとスマートな考え方は武藤と中田に共通するものかもしれない。
このオフに中田英寿と初対面して受けたアドバイス。
もちろん武藤は今でも、ある自信を胸にしている。
「コンディションが万全であれば、ドイツで活躍することができる」
ただ、どれだけ決意を固めても、その度にケガに直面することで、自分で自分を裏切り続けてしまった過去がある。
前面に押し出したい自信は、今は心底に沈めておくことしかできない。他の選手が気になってしまう、それが武藤の偽りなき心理状態である。約1年にもわたる辛苦の末、今はどうしても慎重にならざるを得ないのだった。
このオフ、武藤はある一人の人物と対面していた。中田英寿である。
共通の知人を介した初顔合わせ。「オーラがすごかったし、刺激的だった」と、その時のことを振り返る。
「海外でプレーする上でケガを繰り返すとマイナス」
交わした会話の中で特に印象に残っているのが、ケガについてだった。イタリア・セリエAでも無類のフィジカルの強さを誇った中田。日本人離れしたプレー強度でありながら、大きなケガが少ない選手でもあった。
「ヒデさんからは、とにかく海外でプレーする上ではケガを繰り返すことは良くないと言われた。日本人はすぐにマイナスの評価につながってしまうと。それは自分も痛感するところだった。
僕の印象については、フィジカルが強くて、少々無理も利くプレーができると言ってもらえた。ポジションも、プレースタイルも違うけど、そこはヒデさんの現役時代と共通しているところだと思う。僕もあの対人の強さとかドリブルには強烈なイメージがある。体が強くてブレないところは、僕にも似ているところがあるのかなとも。でもヒデさんは体を張ったプレーをしていても、ケガが少なかった。だからこそ、今一度、自分の体を見直さないといけないと強く思うきっかけになった」