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中田英寿が送った“2つの助言”。
武藤嘉紀の思考に変化は起きたか。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2017/02/10 17:00
アタッカーと司令塔。タイプは違えど、体の強さとスマートな考え方は武藤と中田に共通するものかもしれない。
コルドバとの連携はイメージできていたが……。
ある試合後、武藤は家族を連れてマインツ市内の馴染みのレストランに向かった。苦しい時も隣で支え続けてくれた妻、そして昨年生まれた愛娘を前に、戦いを終えた男の表情は一人の優しい青年に戻っていた。
食欲は旺盛、目の前の料理をどんどん口に運んでいく。食事が一段落し、自ずとサッカーの話を口にし始めた。
「ジョン(コルドバ)は中断明けの2試合は出場停止だから、自分にとって今がチャンス。でもジョンが戻ってきても、できれば2トップを組んでプレーしたい。高さのあるジョンの周りを自分が動く。FC東京時代にエドゥ(元シャルケ)と組んでいたようなイメージでできると思う」
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武藤が長期離脱していた間、コルドバはマインツの前線を支えていた。大柄で長身のセンターフォワードと、体の強さを武器にしつつもスピード突破を駆使する自分は良いコンビになれる。体が動けるようになってきたからこそ、どんどんとプレーイメージが湧いている。
元バルサのボージャンという新たな競争相手が。
しかし、ある選手の名前を出した時に、武藤は一瞬難しい表情を浮かべた。
「マリ(10番をつけていたトップ下タイプ)がヴォルフスブルクに移籍したけど、同じタイミングでボージャンが入ってきた。やっぱりそう簡単にはポジションは掴めないということかな……」
ボージャン・クルキッチ。サッカーファンなら聞き覚えのある名前だろうが、バルセロナ出身のテクニシャンで、かつてはメッシとともにプレーしたアタッカーである。その後、ローマにミラン、アヤックス、ストークと各国のクラブを渡り歩き、キャリア5カ国目となるドイツにやってきたのだった。