球道雑記BACK NUMBER
新人で3位の5勝は挙げたが……。
ロッテ・関谷亮太はいつも崖っぷち。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2017/01/28 07:00
ピッチングだけではなく、フィールディングも。関谷は野球選手としての総合力に活路を見出している。
ベストでいるよりも、その日のベストを出すこと。
関谷は試合前、外野の芝生スペースに出て、体を大きく使った遠投を欠かさない。全ては彼が理想とする投球フォームを維持し、年間通じて自身のパフォーマンスを維持するための取り組みだった。それでも完璧な状態を維持するのは至難の業だった。
そんな関谷に、野村はこうアドバイスを送ったという。
「シーズンを通して考えたら、良い状態でいられる期間は本当に少ししかない。だから出来るだけその日のベストを、その日のいいものを試合で出せるように、準備段階を大切にすること。体が疲れたからといってメニューを落としたりするのではなく、シーズン中、いつでも同じように過ごすことが大事」
牽制、フィールディングという一味違った武器。
春季キャンプのスタートまでついに1週間を切った。
今年のローテーション争いは、ルーキーもベテランも関係ない。一昨年の最多勝投手の涌井秀章も、昨年の最優秀防御率投手の石川歩でさえも、ウカウカしていたら席を奪われかねない。まさしくサバイバル状態だ。
熾烈な競争の中で、関谷には他の投手とは一味違う武器がある。
走者を塁上で釘付けにする矢のような牽制球、内野手のように打球を軽快に捌くフィールディング、多彩な変化球を用いて相手打者に的を絞らせない配球術である。日大三高、明治大学、JR東日本とアマチュアのエリートコースを歩んで身に付けた武器が、彼の財産になっている。
不安を感じるのは、自分自身を俯瞰的に捉えることが出来るからだろう。その不安をひとつずつ自信に昇華出来たとき、関谷亮太の評価は、劇的に変わる。その一歩目を彼はもう踏み出しているはずだ。